ヒーローを歌うのもヒーロー
仮面ライダーの音楽は、
昭和の時代からずっと、小難しい印象だ。
一応、子供向けのものだし、音階が複雑なわけでもないはずだが、口ずさもうとすると上手く出せない。
なぜ。
音程だけじゃない。
抑揚のなさか。
それとも音学的な心理が…?
細かいことはよくわからないが、
手元で聞いているときは、あんなにワクワクして
カッコいいぜ!最高だぜ!なんて感じるのに
発してみると、盛り上がりに欠ける。
頭のなかだけで鳴る、あの猛々しい管楽器たち。なんとも虚しい。
初代仮面ライダーに始まり、昭和のくくりでいくとBLACKまで入るだろうか。
まーーーーー主題歌の小難しさったらないな。
主にBLACKのことだが、当時の俳優に歌わせた上、あまり補正されない歌声を聞いていると、よくもまぁ歌ったな!みたいなものもあって、いつも少し笑ってしまう。
しかしシンプルに、あの小難しい曲たちを、勇ましくカッコよく逞しく、盛り上げて歌っている、水木一郎や子門真人は、むちゃくちゃ上手い人たちなんだと思わざるを得ない。
あんな奥深さ、容易く出せたもんじゃない。
アマゾンとストロンガーの曲が特に好きなんだが、アマゾンとストロンガーがどんなに卑怯な戦い方をしようとも、どんなに簡単に負けようとも、この曲で全て流れる。
ずっとカッコいいが残るし、輝く。
とんでもない印象操作だ。
カッコいいのはサビだけじゃない。
もう、曲頭からグッと掴まれる。
アタックの強さが、ヒーロー参上。状態。
歌詞はただのヒーローであって、仮面ライダーを映しているものなので、当たり前にカッコいい。
そして、歌詞だけでは何を言ってるのかわからない。
そこがいい。
平成に移っても、仮面ライダーのカッコよさと適度なダサさと情け無さに変わりなく。
さまざまなアーティストが、毎回仮面ライダーを彩っていく。
555はとにかく好み。
フォルムも主人公の性格も話も全て好き。
それを底上げするのが、主題歌のJustiφ’sだ。
デジタル感が推された曲と、ISSAの軽やかで勇しい歌声が、555にジャストフィット。
当時、最速の仮面ライダーだった555に似合うし、習字みたいに留めハネがしていて。走る、止まる、跳ぶが強い。
仮面ライダーの視聴ターゲットが、戦隊ものと若干異なるのは明白。
そこが加味されての、あの主題歌たちなのではないか?
分かり易さを与えない姿勢。
簡単には覚えられない曲。
歌の上手い人にしか出せない声の深み。
そんな小難しい曲を歌い上げるアーティストたちも、歴としたヒーローだと思っている。
本編にほぼ出ないだけで、いつだって戦ってる。そう思わなきゃ、ああは歌えない。
水木一郎がアニキと呼ばれるのは、数々の特撮ソングをものにしてきた、唯一無二のヒーローだからでしょう?(仮説)
タイトル・スーツ・ストーリー・キャラクター、それらを包み込む主題歌。
やっぱ歌い手もヒーローだ。
仮面ライダーはとても良い。
これからも見続けよう。最高だ。
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