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化けて出る

某町には、77年前に墜落死した米軍爆撃機の乗組員たちの慰霊施設がある。この施設に向ける思いは、おそらく日米両国で違っていて、崇高な使命とそれに殉じた個人を敬うというのが米国流。
我が国の場合は‥‥望まない亡くなり方をした将兵の霊が、祟らないように祀って鎮めるというのが本音?

それで思い出したことがあった。

1954年に公開された元祖ゴジラ映画では、太平洋の戦場で戦死して遺骨も回収されていない大勢の将兵が、怪獣という亡霊になって帰還したのだという意味が込められていると考察されていたこと。
その例証として、皇居に接近したゴジラが背を向けて海へ戻っていった、という一場面が挙げられていた。「化けて出た」というやつか。
私はあの映画を全体を通して観たことがないのでよく判らないけど、当時の人たちにとっては身に迫る話だったのだろう。

私が子どもの頃、親戚の葬式へ行った祖父が、(故人の悪口を言うと)死後に化けて出るぞ、と言って怯えてたのを思い出す。

今、そのような感覚を持っている人が、果たしてどれだけいるというのか。

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