見出し画像

『プレ・ライトノベル』としてのファンタジーを考える。

ファンタジーの古典を読もう、と考える。
そこで大上段に『指輪物語』に挑戦するとけっこう息切れする可能性が高いことを指摘したい。
何せあれは映画版でさえ長大なものになっているので気軽に突入すると怪我をする。

そこで私はロバート・E・ハワード著『英雄コナン』シリーズをお勧めしたい。
有史以前の超古代、ハイボリア時代の地球を舞台に蛮族の戦士コナンの活躍を描いた本作は俗に『ヒロイックファンタジーの嚆矢』と言われる。

そこは剣と魔法の世界であり、邪悪な魔法使い、暴君が率いる帝国とそれに傅く奴隷、盗賊団、危険なモンスターたちがひしめく世界である。
そんな中でコナンは時には戦士として、時には盗賊として、はたまたある時は一国の君主として冒険に勤しむ。その力強さが読者を魅了するのだ。
何せコナンは蛮族の戦士。ドラクエ2のローレシアの王子みたいなもので魔法などの特殊な能力は一切ない。ただひたすら蛮勇と奸智で難局を切り抜ける。

原始地球の生命力、その象徴としてのヒーローが書かれるコナンは現在のあらゆる意味でゲーム化されたファンタジーでは省略された部分を愉しむことが出来る、と言えるだろう。

そしてコナンを語るにはやはり映画について言及しなければならない。
1982年に公開された『コナン・ザ・グレート』はアーノルド・シュワルツェネッガーを主演にしたアクション映画であるが、恐らくファンタジー世界のビジュアル化としてはこちらも先だったものがあるだろう。
脂ののったマッスルボディを存分に生かしたアクションシーンはまさに挿絵などで描かれてきたコナンそのものであり、アーノルドをハリウッドスターにしたのも本作である。
古い作品だがさほど長いものではないので是非お勧めしたい。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?