ハインライン『夏への扉』を読む。
俗に「三大SF作家」というのがある。
アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラインの三人をそう呼ぶ。
この中でアシモフとクラークはどちらも思弁的というか、とても「科学的に凝った」SFを書かれていた。
特にクラークは「幼年期の終り」「2001年宇宙の旅」などを見ると、SF的なガジェット以上にガジェットで発生する哲学的なテーマ性に寄った話の方が目立つ。
それ自体は読んでも有意義だし色々と得るものがあるのだが、正直今のエンターテイメントとして考えると厳しい。
ではアシモフはどうか、というと、こちらはエンタメ的に今日でも耐えられると思う。が、古さが目立つ。
科学的に凝っているが故に執筆当時の科学知識に依っているので、割り切りがいるかもしれない。
では、というわけではないが、私はハインラインが好きだ。
特に『夏への扉』と『宇宙の戦士』が良い。などと言うと人によってはミーハーな、と思えるかもしれないが。
『夏への扉』はタイムトラベルを扱った作品だが、同時に猫が重要な役目を持ち、そしてロマンスがある。
そこで描かれたガジェットは現代に実現しているものもある。
面白いのは、科学的に凝ったアシモフやクラークよりもハインラインの作品のガジェットの方が現実化しているパターンが多いんじゃないか、というところだ。
実は今私はセーブザキャット式作品分析を勉強しているのだが、『夏への扉』はかなりこれに忠実なのではないか。
いや、オールタイムベストの名作は須らくそうだが、自分が好きな作品が分析しても名作だと判明するのは、何やら楽しい。
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