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解毒の段階へ

結婚して実家を出てからも、実家が遠いわけでもなかったし、支配型の親なので、関わりも多かった。
私自身も、「結婚しても実家と密な関係を持つことこそ幸福な家庭」みたいな価値観に洗脳されていたなあと思う。
もちろん、子育ての面で、助かったことも多々ある。物を買ってもらったこともある。
そうした物質面・精神面でのメリットがデメリットを上回るようなら、実家と密に付き合い続けることは何も悪くない。私の場合は、デメリットの方が多かった。今更というか、やっとというか、気付いた。
放射能汚染された土地をせっかく除染したところで、また放射線を浴びさせるような行為を、私はずっと繰り返していたのだな。

毒親とは上手く言ったもので、切り傷でも打撲でもなく、毒なのだ。表面上は元気でにこやかに見えても、内部がダメージを受けている感じ。
私は、自己肯定感が低くて攻撃的な人間だ。パートナーを得て、子育てをしながら、少しずつ本来の自分を取り戻しつつあったのに、定期的に実家に近付くことで、その度に毒に触れていた。
実家界隈の異常な価値観に触れ、自信を失い、身を守るために硬くならざるを得なかった。

尊敬する年上の友人が、母親からなかなかの教育虐待を受けていて、東大に進学したのだが、ある日プツッと気持ちが切れて、地方に就職し、住所も連絡先も教えなかったという。失踪にされてしまうと困るので、父親を通してだけ連絡を取るようにして五年、だいぶ母親が自分を一人の人間として扱ってくれるようになったらしい。とはいえ簡単に変われないのが人間なので、彼女にもいまだに色々あるが、私も若いうちにそうした荒療治をした方が良かったのかなと思ったこともある。

とはいえ、ここまで来て、蓄積した毒をやっと認識し、四十路にしてこんな結末を迎えたわけだが、これが私の人生なのだなと今は受け止めている。
もっと良いやり方はなかったのかなんてことは、私が一番考えたことだ。でももう、仕方なかった。
おかげで、生涯で最も心が脅かされない正月を迎えている。くだらないことだけれど、あのセレモニーがどれだけ私の精神を追い詰めていたことか!
他人にとってはどれだけ取るに足らないことでも、当人にとっては命に関わることつらいことは、確かにある。

#note書き初め


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