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そういや、キスって存在忘れてた

船酔いが一発で治った。

今年の1月、冬の北欧一人旅のさなか。
1時間半の航路で爆酔いした私は、船をよろよろと降りた後、高速バスに乗り換えた。

私の前の席には、20代後半くらいのカップル。
席に着くなり、男性が女性の肩に腕をまわす。


…まじで、ずっとチュッチュしている。


すごい。
リップ音も、すごい。

久しくキスをしていない私は、この音にハッとした。

そういや、キスって存在忘れてた。



親愛の情を示すとき、感謝を伝えるとき、恋人たちが(かりそめの関係でもいいが)戯れるとき…

あったね!!!そういう行為!!!!!!
おばさん忘れてたよ!!!!!!!!(22歳・女)


生々しい音を聞き、昔は身近であったキスという行為の存在と質感を思い出すとともに、その行為を暫くしていない事実に気付かされた。(そしてこの身を憂いた。)

でも、そんなことはどうでもよくなるくらい、街行くカップルたちは年齢関係なく仲良さそうにしていて、私はもうニコニコしっぱなしだった。

街中、博物館の中、兵隊のパレードの最中…
所構わずちゅっちゅしている。


兵隊さんを録画中。肉眼は前のカップルに釘付け。


…いいぞ、もっとやれ。

いちゃいちゃするのは悪ではない。
微笑ましいだけだ。

なーーーんでこんなに、日本と文化が違うのかしら。

北欧では、いつどこでちゅっちゅしていようが「仲良いなあ」としか思わないのに。日本では、外でちゅっちゅしているのを見かけたら、思わず眉をひそめてしまう。



…まあでも、考え方を変えると。

日本では、外でなかなかできないからこそ、抑制されているからこそ、できたときの喜びが大きいのかしら。

我慢して我慢してからすると、より気持ちが高ぶるみたいな。



うーん、
それはそれで悪くないかも。(黙れ)



おあずけが好きなのだろうか。

それで言うと、恋人と永別してから半年間キスをしていない私は、ひとりキス我慢選手権を開催している。北欧旅行後、自ら意識的におあずけ状態にしているのだ。

かりそめの関係もない。(前提モテない。)
飲み会で酔った友人に乞われても、していない。
飲み会で自分が酔っても、していない。

何年先になるかわからないけれど、今は我慢して我慢して、次好きな人とできたときはトンデモナク幸せで、腰が砕けるんじゃねえかと期待している。

だから、しばらくは我慢しようと思う。
いつかの腰砕けキスを目指して。



…ん?

禁欲を大声で発表しただけだ、私。
(やっと己のキモさに気がついた人)


リア友も読んでるんだぞ、4月から関係を築いていく会社の同期にも見られるんだぞ、大丈夫なのか。変なヤツだと勘違いされないか。(勘違いキモ文章野郎であることには、間違いないのだが。)

記事にせず、心の中にとどめておくべき内容だった。確実に。

でも、言えて満足したからいいや。
(最後までキモい)


果たして、私だけがキモいのか。
外ではクールに振る舞うが、家ではいちゃいちゃデレデレしている日本人がスケベなのか。
外でもちゅっちゅしてしまう北欧人が破廉恥なのか。

…いや明らかに、私だけがキモくてスケベで破廉恥だろう。周りを巻き込んではいけない。


そんなクソキモ気質の私を、私の文章を、笑って許してくれる友人と読者様を、一生大切にしたいと思う。

しみじみと、そう思う。

(デンマーク旅行記4、終)

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