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第10話»夏祭りだ!

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店長に呼ばれたあの日。スタッフ全員が1人づつ部屋に呼ばれていると奈美は思っていたが勘違いだった。イマドキも声を掛けられていなかった。私だけ? なんか嫌な予感。あの冷酷な表情を思い出すと背筋がzozozoっと寒気が走った。しかし店長も大変なんだろうな。上から下から客からと、色んな事の要求や改善、要望など。それらの事を少しだけ奈美も想像してみると、そのあつれきで目眩がして来そうになった。

雨が続く日が目立ってきた。
湿度は軒並み高くなり気温は上昇していった。

本格的な夏が近づいている。街並みに目を向けると落葉樹が葉を広げ陽を遮っている。その木陰には一時の涼しさを求める人達が目立っていた。VIE LENTEにも夏を前に美容面を改善する目的で客が溢れている。夏と言えば花火、花火と言えば浴衣。浴衣と言えば祭り。ここ界隈にも伝統の祭りがあり、準備する人達には忙しい季節となっていた。

祭りには企業側から率先して参加を願う時もあれば、その地域から是非とお願いされる場合とがある。当VIE LENTEは企業イメージも兼ねて参加することになっていた。単なる協賛ではなく実際にお店も出店する。店からの実行責任者は店長から奈美に任命された。私はイマドキを助手にと言う条件で引き受けることに。

週末の3日間、祭りと化する通りは片側3車線両6車線を使用する盛大なものだ。迂回路も何本か有るので通行には支障は少ない。
パレードもあり、見物人も毎年大勢来る。
祭り委員会も年々大きなものとなってきた。
防犯に警察も協力的だ。
奈美とイマドキは店とは別に、祭り組織の企画運営に携わることになった。忙しそーぉ。

祭り委員会に出席すると会場にはお偉方達が1段高い場所に座り、対面する形で各係りの責任者、並びに実行委員の席が設けられていた。奈美はイマドキを伴って企画運営の後ろにちょこっと座った。開始定刻が迫ると、お偉方も1人2人と現れる。
「あっ!」何故か会長の位置に叔父が姿が。
席に着くと奈美に向かって微笑んでいる。

叔父が祭り行事の会長するとは想定外だった。
その事を後で聞いたら「成り行き上そうなった」とらしい返事。
形式上で特にやることはないと言っていた。
しかし何でも関心を持ち首を突っ込みたくなる性格は、きっと私も同じだろう。この叔父から譲り受けた行動力をプラスに働かせて行ければ良いなぁ。




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