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2021年を迎えて出会った3冊の本【HTLV-1キャリアでもある私】回想・・21


年が明け、数か月過ぎた頃、当事者(キャリア・発病の方)に触れてある数冊の本に出会う。 ご紹介さていただきます。

〇『教えて! HTLV-1のこと』 2006年発行の本である。患者会の方々(スマイルリボン代表理事 菅付加代子さん)が中心となり出版された本であった。更に研究者の先生方も寄稿されていた。お書きになっている内容に厳しいことも書いてあり、すんなりとは頷けない箇所もあったが、深く考えさせられた。とにかく感銘を受けた。
私が感銘を受けた箇所は、患者会、研究医師たちの力で、厚生労働省に働きかけ、HTLV-1関連脊髄症(HAM)の難病指定が決まった事、妊婦さんへのHTLV-1検査を公費でできるように繋がった実績など、知らないことばかりだ。恐らく本には書ききれない、たくさんのドラマがあったはずだ。お医者さんたちの書かれた内容もわかりやすかった。「孤独にならないで。」というあたたかさや、「声をあげてゆきましょう。」という、励ましのお心を患者会の皆さんやお医者さんたちから、本を通して感じられたのだ。

〇『成人T細胞白血病 ATL闘病記』 尾形 千秋著 南方新社
尾形さんは、お父様がATLになられご家族で向き合ってこられた日々の記録をご紹介下さっている。また尾形さんがなさっているブログにも触れてあり、当事者同士の情報交換や励ましあうご関係から、とてもお優しい方だと伝わる。2008年にご出版された当時は、ATLに罹患された方は、余命2年と言われていたこと。本の帯に「発症から6年、元気です」とあった。ずいぶん経って残念ながらお父様がお亡くなりになった(別の病で)と、ブログを拝見して知った。
尾形さんの本に、「余命○○年だとか‥他人に牛耳られてはなりません・・。」と書いてある箇所があった。印象に残っている。

〇『成人T細胞白血病<ATL>とHAM』吉嶺 明人著 南方新社
患者会スマイルリボン代表理事の菅付加代子さんのことは、もちろんのこと
HTLV-1にまつわるいろんな方のご紹介がされている本であった。考古に興味があるからなのかもしれないが、大変に驚いた箇所があった。園田俊郎医師が、南米アンデスに出向き、チリ政府、先住民の酋長さんに掛け合い、お許しをもらい、ミイラ104体の骨髄からHTLV-1遺伝子検出に成功したという。HTLV-1ウイルスの感染・分布の視点から、人類の移動や、日本人のルーツを探ることにもなるし、ATL、HAM両疾患の違いに特有のHLAという白血球の型が免疫をコントロールしているという事を突き止めた研究者だ。日本の研究者の方々は、海外で苦しむ患者さんの希望の光ともなるはずだ。

同じ本にて。鹿児島テレビのアナウンサーの山本真一さんは、キャリアとなりご家族の事にも触れてあった。キャリアである方の記事を読むのは、この方が初めてで、大変に心強く、有難かった。

本を読み進めてゆくと・・私は、ある疑問にぶち当たった。山本さんの奥様もキャリアとわかり、生まれてくるお子さんたちへの感染を防ぐため、母乳の与え方について対応をなされている。
お子さんの出産は1988年となっており、おそらく、ご懐妊中に鹿児島の産婦人科でHTLV-1抗体検査を受けていたのだ。うちの息子が生まれたのは、1999年であり、こんなにも鹿児島と私の住まいの関東圏で、取り組みの違いがあった事はショックであった。後(2010年~)に、国が妊婦への公費でのHTLV-1抗体スクリーニング検査が行われるようになった事は知っていたのだが、どうしてこんなにも、認識のズレがあったのか・・。早く知っていたら、私の息子への感染は免れたかもしれないのだ。悔しい。



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