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両親の事 【HTLV-1キャリアでもある私】回想・・3

私たち夫婦の両親からによる感染も考えられるが、年老いた田舎の両親たちに感染について話すのは絶対にできない。

かつて夫の母に、私は精神を追い詰められていたことがある。夫母は息子(私の夫)を溺愛してきた。「息子を取られた!」と言うのが口癖であり、別居であるのに、そのエネルギーは凄まじかった。過干渉でことごとく私に敵意を向けてきた。夫は生まれた時から障がいを持っている。夫母は、障がいを持って生まれた息子を「私が面倒をみる」と生き甲斐にしてきた人だった。そんな息子(夫)は、母親との関係に苦しみながらも「見捨てないで殺さないで育ててくれた母」と大切に思っている。夫母の口癖は「障がいを持って生まれた息子を道連れに死のうと思っていた。でも思い留まった。」とよく話す。そんな彼らの複雑な関係に私は挟まってしまったのだ。気が付けば、なんてこった!の話である。私はその溺愛息子とお互いに惹かれあってしまったのである。ガチャガチャやりながらも、結局のところ夫と別れることなく今に至る。

誤解なく書くが、パートナーが障がいを持っている方から話を聞いたり、書物も読んでみたが、障がいを持ったお子さんを授かった母親が、夫母と同じようになるとは言えないのだ。うちについては親子問題、嫁姑問題と、どうにも根が深く解決にならないので、私は決意した。 私自身とうちの家庭を守るために「介入してほしくない」と距離を置くことで生活を保っている。ここで、もしも夫がHTLV-1のキャリアまたは発病となると、知った夫母は気が狂ってしまうだろう。私からの感染となると私は呪い殺されるかも💦
また夫母からの感染となると、かなり元気がなくなるんだろうな・・。夫の実家には話せないのである。


私の生い立ちについても複雑で、何とか私を育ててくれた両親に感謝しているが、距離を置くことが必要な間柄である。大病で入院していた父は時々気弱になっている。認知症の母は話がよく理解できない。HTLV-1の話をすればかなり動揺するはずだ。時々電話する。とても喜んでくれ楽しく会話する。HTLV-1のことを話したくなったこともあったが、言えないでいる。高齢の父や母には、出来るだけ穏やかでいて欲しい。他兄弟たちにはそれぞれの家庭があるし、やはり話しづらい。感染についてはうちの家族だけで収まることなのかもしれないし、まずは黙って様子を見ることにした。時々は連絡を取っているので、父母や兄弟たちの体調のことは気にかけて聞いている。甥や姪たちの事はとても気になった。遠巻きに話を聞く限りでは、キャリアの可能性は無さそうで安心した。それは、その母親たちが出産時に、HTLV-1検査を受けて無事のようだし、献血をしているという話も聞いたから。

流行ウイルスのような感染力がないのだし、無理やりの感染源探しは、やってはいけないと思う。正しいかどうかはわからない。私が、今の時点で感じていることだ。他人が、苦しむキャリアの方や発病の方に「周りに正直に話すべき。」、「治療解決のための、データが必要なのだから。」と追いつめる事は絶対にしていけないと思う。実はネットで、そのような意見を目にしたことがあった。すごく苦しくなる。自分の気持ちを表すことは、自分の内から湧き上がる言葉であり、行動であるから。他人が強要することでない。そこには、キャリア、発病の方との間に感情の開きも、ひょっとしてあるかもしれない。

当事者でなければわからない気持ち。個としてそれぞれの気持ち。キャリア、発病となった途端に、血縁者の感染の有無や、人間関係の不安や苦しみを心に抱えてしまうのだ。 社会のなかで、こんな重い気持ちを受け止めてくれる方は、どのくらいいる? どこにいる?

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