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《2020年、京都から》

大学入学の際に京都に移り住んだ。古の都も、いまは地方都市だ。

京都はアーティストにとって住み良い所だ。稽古場はある。発表できる場所もある。だけど次につながらない、という絶望的な環境下でもある。次につながるとは何か、ここでのつながるは経済活動に発展するかどうかです。
経済活動に発展しなくても活動は続けられる。けど10代の時からずっと周りのすごい表現をしている人たちが、表現で生活をできないのが謎であった。その謎の仕組みはもうわかっているが、この謎の解決策は見えない。文化芸術でもう少し経済が回ればなァと思いながらも、地方で、さらに舞踊の活動においての予算確保の大変さは身をもって知っている。
しかし、地域で文化芸術を区切る時代ではないかもしれないが、国内の文化芸術の発展には、地方の発展こそが大切だ。そして、その地域への確かなまなざしがないと、地域に根ざした文化芸術の育成は難しい。育成。いい言葉だなあ。育成が終わるときはいつだろうか。育成の次には支援が必要だ。支援環境の継続がないと育成されないままだろう。ああ、課題は多い。安易に理想を語ることは避けたい、今を見て少しずつやるしかない。

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2020年10月【きたまりダンス食堂vol.8 スペシャル篇】UrBANGUILD    撮影:井上嘉和

さあ、2020年の話に。
コロナ禍という状況下で、いいことも悪いこともあったが、基本的に手探りであった。生の体感を大切にして表現をしてきたので、オンラインだといきなり言われても、瞬発力も対応力もないので、地道になにができるかなぁと考えてやれたこともあったし、やれなかったこともあった。時代の変化はいつでも急激だが、変化にのる必要があるかどうかは甚だ疑問だ。
言葉に頼りすぎてつまらない時代だなあ、と日々感じる。本音を言うとめんどくさい時代だなあ、とも気づいている。だから、日々のどうでも良い言葉も含んだ、言葉を残すことをしようかと思い、このnoteと、大学の後輩の翠ちゃんと二人で伝蛇裸寿(でんじゃらす)ラヂオを始めたのだ。

2020年10月と2021年1月の【きたまり×倉田翠の伝蛇裸寿ラヂオ】


2020年はいろんな現場が中止になった。でも文化活動継続支援という名の補助金もあったので、その補助金でいろんな企画を立ち上げて実行した。たびたび悪態をつきながらも、自分でやらなきゃはじまらない地方で表現を続けることに固執しながら企画力と実行力という筋力が知らずについている。

その中の一つに【きたまりダンス食堂】というものがあった。UrBANGUILDでやってきた食堂ライブだ。緊急事態宣言前の2020年の3月の240分で最終回のはずだったが、コロナ禍で会場のUrBANGUILDが窮地に追い込まれて、アーティスト発信でUrBANGUILDの支援目的で立ち上がった#keep UrBANGUILDのコンテンツとして270分の選曲権を販売した。それまでは自分から選曲者を選んでいたが、初めての販売。どんな人が購入し、選曲してくれるのかと思い挑んだ270分、これが良かった。天国と地獄、追い詰められた。終演後にすぐにUrBANGUILDの企画担当のながらちゃんと、ブッキングマネージャーのryotaroさんに「次、300分!いつにしよう!」と駆け寄ったら、「勘弁してほしい」といわれてハッとした。自分が大変な現場は、周りも大変だったのだ。気づくと観客もぐったりしていた。「きたまりの修行は、スタッフも観客も修行してるんやで」と言われて「そうだったのか…」と気づいた。あはははは、申し訳ない!次はどんな修行を皆とできるかな。こんな直接的な他者との身体の関係が叶う場が、いまは本当にいとおしい。

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2020年10月【きたまりダンス食堂vol.8 スペシャル篇】UrBANGUILD    撮影:井上嘉和
2020年10月は【きたまりダンス食堂vol.8 スペシャル篇】の前にUrBANGUILDのUrラヂオにもでました。

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