敢えて矛を取ったサムライ~2022カタールW杯日本vsドイツ戦on11/23初心者向けレビュー~


0:あいさつと目次のようなもの

はじめまして。北条加蓮Pサッカー部員のkcと申します。765ASのゆきまこからアイマスに入り本担は新田美波。別名義で日夜デレマスメインの百合小説を書いている、サッカー部時代はファンタジスタもどきだの味方をも欺くスルーパスの出し手だの言われてた所謂変人です。

自己紹介はこれくらいにしておいて、まずは昨日の勝利本当におめでとうございます!!! 夜更かししてメキシコvsポーランド戦を見ていた時に確信したのですが、日本は自慢のハイプレスを活かす1トップ前田大然までは予想していました。
ただ、この結果は本当に読めなかった。これは日本代表に関わる全ての人の力がひとつになって掴んだ結果にほかなりません。まだ残り2試合、コスタリカとスペインという強豪は残っているので気を引き締めて決勝トーナメントも勝ち進むことを祈りながら応援していきましょう!

さて、ようやく本題に入るのですが、今日お話しすることは2つ。この試合の勝利の意義とそれに関わる試合解説になります。自分は資料を全く作れない人間なので動画類は各自用意したうえで確認してください(おい)。

結論から申し上げますと、日本がこの試合に勝てた意義は大きく分けて3つあるかと思います。

1:初戦に勝ったことにより一気にグループリーグ突破が見えてきた
2:ワールドカップの大舞台で初めて優勝候補レベルの国に勝てた
3:日本という国は矛で相手の矛を倒せるという実例ができた(時間のない人はここだけでも読んでください!)

1について

これについては各メディアで言われている通りです。現在の32ヶ国制になったフランス大会以降のワールドカップの初戦に勝利したチームは、グループリーグ突破率が8割を超すというデータが存在します。これは初戦に勝つことにより勢いづくのと同時に、サッカー大会の4チーム制グループリーグは勝ち点6、最低でも勝ち点4を取れば突破が確実視されるという事実が精神的優位を生み出すのも大きなポイントとなります。ポ〇モンでいえば最初の1匹目に選んだエースの先制の一撃で相手を1匹倒せて、精神的優位に立てるのに似ていますね。

2について

それじゃドイツって強いの? ゴール枠を終始外しまくってたじゃん! という声が聞こえそうなので弁明しておきます。日本に負けはしましたが、はっきり言ってドイツは強いです。

まずはキャプテンのGKノイアー。彼は11人目のフィールドプレイヤー、もうひとりのDFと呼ばれるほどにゴール前から飛び出して攻守に貢献する『GKの歴史を変えたパイオニア』として有名です。
また、この試合では守備的MFに入ったキミッヒもかつてはDFのサイドバックとしてプレーしていましたが、変化自在なポジショニングを可能にする優れた頭脳が要求されるここ最近のサッカー界のトレンドの偽サイドバックと呼ばれるポジションで世界をあっと言わせていた『世界最先端を支える世界最高頭脳の持ち主』です。これらをポケ〇ンで例えるなら、それまではあまり重要視されてこなかった場の状態の恐ろしさを全トレーナーにトラウマとして教え込んだカプ・テテフのようなものです。

ならどうしてそのドイツは負けたのか。それの象徴的シーンが後半18分の浅野vsリュディガーのマッチアップかと思います。
Abema解説の本田圭佑氏に『性格が悪い』と言わしめたほどふざけたダッシュをリュディガーはするのですが、この試合のドイツは完全に日本のことを舐めておりそれがこのあとの3に続きます。

3について。試合前半

これが本当に今大会で一番じゃないか、と思うくらいの大きな財産です。本当にこれは大きすぎる。ディ・モールト大きい(大事なことなので3回言いました)。

「なんで日本は前半動きが悪くて後半は良くなったの?」そう思えるだけであなたはサッカーを見る素質がある。そう断言します。
まず前半ですが、日本は1トップの前田がプレッシャーをかけ両ウイングの伊東と久保もそれに連動する。そうしてドイツが苦しくなって出したボールを守備的MFの遠藤と田中が奪い取り、今や世界的な司令塔になりつつある鎌田にパスを出してタクトを振らせてゲームを支配しよう。そういうプランを森保監督は考えていたはずです。

ところがそれは機能しませんでした。まず日本の攻撃の中心で『戦術伊東純也』とまで呼ばれた伊東がマッチアップするドイツの左サイドバックの上がりによってポジションを低めにしなければならなくなります。
さらにこの試合ではクロスを前田に出す役割を期待されていたであろう久保もあまり守備はうまくない選手なのでずるずるとポジションを下げてしまいます。そうでないと後ろの長友に負担がかかって失点する未来が見えているからです。

そうなると日本の代名詞であるハイプレスは崩壊します。何故なら相手DFと守備的MFの5人を前田と鎌田だけでプレッシングするのは無理があるからです。その結果、選手はずるずると後ろに下がってしまいドイツには自由で広大なスペースが生まれてしまいました。
日本の失点につながったPK献上シーンは権田は一切悪くなく、あれはチームが目的意識を持てずにあいまいなままでプレーしていた”ばち”と見るのが妥当な気がします。権田が倒した選手は、日本側は誰がマークすればいいかを全体で共有できずにペナルティエリア内に侵入してきたのが明らかだからです。

非常に長かった前半が終わり運命の後半に入ります。ハーフタイム中のサーバー内で後半からフォーメーションをいじる価値は大いにあるという話が出たのですが、それは現実のものとなりました。

3について。試合後半

サッカーの守備の基本として選手をひとり余らせるという考え方があります。これはドリブルなどで守備の選手が抜かれた時、後ろの選手がカバーに行ってピンチの芽を摘み取るというものですが、前半のドイツは前田と鎌田の実質2トップを3バック気味になって守っていたので理にかなっていました。

一方の日本も相手の3枚に対して4バックで守っているので理論上は崩壊しないのですが、ドイツの中盤以降から湧き上がってくる選手の多さとその圧倒的な攻撃力に対応できず守備は崩壊、攻撃も全くと言っていいレベルで機能せずという状況でした。それを森保監督は4-2-3-1の布陣から3-4-3に変えることで解決を図ろうとします。

結果的にこれはハマって日本の大逆転劇に繋がるのですが、この試合の3-4-3にするメリットは何だったのか? それを抽象的に言うとしたら『矛の先を研ぎなおした』と言えると思います。

今の日本は『ハイプレスが武器でそれを活かさない手はない』というのが大前提です。森保監督は盾でしのぐのではなく武器を再び取る決断をしました。
相手の最終ラインは3枚。ならばそこに3枚ぶつけてしまおう。これが第1の考えです。
続いて3枚のうち右の伊東は相手選手の上がりによってポジションが低めになってしまった。ならば伊東の後ろにいる選手(酒井)を高い位置に持っていってそいつでドイツを押し込みつつ、伊東をのびのびさせてやろう。そうすれば左サイドも上がってこれて相手を押し込むことができる。これが第2の考えで監督はそれらを融合しました。

もちろんこれは万能薬ではありません。DFを1枚削るのですから最終ラインは1人も余らなくなります。つまりはDFがひとりでもかわされてしまったらそこでおしまいになりかねないのです。ポケモ〇でいえば焼き鳥と呼ばれるオオスバメの戦術で相手を三タテしなくてはいけないくらいに厳しいことです。

しかし日本はそれをやり遂げました。同点弾のシーンの頃には日本のプレスは息を吹き返しており、その証拠に左ウイングバック(MF)の三苫が中盤でボールを受けてドリブルでボールを運んだ時、左ウイング(FW)の南野は相手ペナルティエリア付近にいました。南野のクロスをノイアーらしくない弾き方をして日本に点を献上するというドイツのミスはありましたが、後半の出来的に日本が点を入れても不思議でないというムードは前半以上にあったのは確かです。

そして決勝点の浅野のシーン。あれは日本の本気とドイツの油断が綺麗なまでに重なったシーンでした。あのシーンで浅野はフリーになっているのですが、あれをよく見てみると点取り屋の動きである斜めに走る動きで相手選手を置き去りにしつつオフサイドラインの突破を図っていることがよくわかります。
それを感じとった板倉も偉いのですが、この頃のドイツは足が止まってきておりそれは日本が今までプレスをかけて相手を疲弊させた結果にほかなりません。また、GKのノイアーも難しい選択をしているのですが『日本人はシュートが下手だし浅野はそこまで決定力がない選手(※浅野選手には悪いのですが、決定力という視点で見れば浅野選手は世界トップクラスに入るFWではないというのが筆者の考えです)だから厳しいコースを開けて楽なコースを完全にふさいでしまおう』という守り方をしていました。

〇ケモンでいうとこの試合のドイツは『同じかくとうタイプだけど日本はルチャブルという火力に劣るやつらだから俺たちの剛腕でぶっ潰しちまえば大丈夫』と思ってしまったカイリキーのように思えてなりません。

4:最後に

とにかく貧弱だったはずの我らの矛は世界最強クラスのドイツに打ち勝ちました。これは日本サッカーを知っている全ての人ならわかることだと思うのですが、今までの日本は前半の戦い方を継続して後半に挑んでいた、つまりは苦しくなると前に出るという選択肢は取らなかったチームでした。

ところが昨日はそれを180度変えてきたうえに結果も残してしまった。ディ・モールト、ディ・モールト、ディ・モールトォォォッ!!! こんな素晴らしい結末は予想していなかったじゃあないか!!! 本当におめでとう!!! これからもどんどん魅力的なサッカーで世界を変えていってくれ!!! まだまだ先は長いけど本当にありがとう!!!!!!!!!!!

追記 筆者は最近のポケモンは一切やっておらず、あの手の対戦ゲームはメダロット派であることを付記しておきます。カリンちゃんかわいい。

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