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『現代版ふるさとの菓子』元町サントスのホットケーキ

 コーヒー。神戸はコーヒーの街と言われます。コーヒーが日本に初めて持ち込まれたのが神戸だからだそうです。そのためか三宮、元町エリアにはカフェや喫茶店がたくさんあります。もちろん有名チェーン店も多いですが、よくよく探すと古めかしい純喫茶も多く見つかります。神戸は洋菓子文化が盛んなだけに、お菓子と一緒に頂くコーヒーも地域に根ざして洗練されているのでしょう。

 今回訪れたのは元町商店街の喫茶店「元町サントス」。萩原珈琲というコーヒー豆の専門業者の直営店で、腕利きの焙煎士が仕立てる上質な豆が売りとのこと。コーヒーと一緒に注文したのはお店の定番メニュー「ホットケーキ」。本当はマロン乗せとか、小倉クリームとかもあったのですが、初めてのお店なのでまずはプレーンの味を。これは共感頂ける方が多いのではないでしょうか。初めて入るお店ではまずはその店の定番メニューをプレーンな形で頼み、その店の基本を知りたいのです。

 さて注文を終えると、なかなか運ばれてきません。しかし時間をかけて作っていることが伺えて却って好感が持てます。

 ようやく運ばれてきたホットケーキは、分厚い生地を2枚重ねた、だれもがイメージするあのホットケーキです。満を持して口へ運ぶと、こんがり焼けた表面はかすかにカリッとした歯触り、中はふわふわで舌ですぐに溶けてしまいます。特に端っこがカリカリしてるのがたまりません。さらにバターを溶かすと香ばしさにまったりとした甘みが加わります。

 バターの他にもう1つの名脇役が、カラメルシロップ。これを一気にかけるのですが、どうしても塗り方にムラができてしまいます。しかしこれこそが美味しさのもと。シロップの特に染み込んだ塊のところができて、そこがまた甘みが凝縮されて美味しいのです。

 さて自慢のコーヒーはというと、やはり薫り高くて深みがあります。しかし私には若干苦味が勝っているように感じました。いくらか砂糖とミルクを足したくらいがちょうどよかったです。今回頼んだのがプレーンのホットケーキでしたので、もっと甘いものにならこの苦味がちょうど合うのかも知れません。

ホットケーキに焦げ目ほどよき小春かな
拙句

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