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【湖南市選挙解説25】雨の選挙戦

滋賀県議会議員選挙も8日目で朝から本格的な雨を迎えました。蛙たちが気持ちよさそうにケロケロロと合唱しています。

雨の中での選挙は候補者にとっては嫌なものです。まずは有権者が外に出てきません。昨日までは選挙区内を選挙カーで回ってもスポットを打っても聴いてくれる人の姿はガクッと減ります。

その一方で冷たい雨は無情にも候補者に降り注ぎます。街頭演説をするにしても運動員に傘を差してもらっても濡れてしまいますし、傘を差しかけられての演説では同情を引くことができません。

10年以上前の栗東市長選挙で栗東駅前の街宣車の上から応援演説をした際、私の順にマイクが回ってきた瞬間に豪雨が降ってきましたが、傘を差さずに濡れ鼠になりながら腹の底からの演説をして駅頭の聴衆から割れんばかりの拍手をいただいたことがあります。当時、先に演説を終えていた野党自民党の国会議員たちはドン引いていましたが、選挙は熱量×運動量ですから、いかに活動してもらえる支持者を増やすために訴えかけられるかが勝負ですので、隣市の現職市長がズブ濡れになりながらの演説は聴衆が投票依頼の行動に移ってもらうためのトリガーになったはずです。この選挙は当時の嘉田由紀子知事や三日月大造国土交通副大臣が全面的にバックアップした候補との決戦でしたが、全盛期の嘉田パワーを打ち破ることができたのは、やはり今回の選挙では感じることのできない危機感から来る熱い共感だったと思います。

その嘉田参院議員が昨日の塚本しげき候補の総決起集会で自民党支部長の生田邦夫市長と野合して、栗東市にできるはずだった新幹線新駅計画を潰したことで迷惑を掛けたと謝罪したことは、政治に対する真剣さに欠ける政治家も世の中には数多くいるという目を背けたくなるような現実を私たちに突きつけています。

塚本候補を応援する嘉田参院議員とそれを温かく見つめる生田湖南市長

雨でずぶ濡れになるのは街頭演説の場だけではありません。選挙カーで選挙区を回るに際しても、候補者は助手席から左手を差し出してできるだけ有権者の目を引くようにしますが、雨が降れば伸びた指先から肘を通って脇まで冷たい雨が浸透してきます。それでも熱く訴えて共感を得ていかなければならないのです。

駅立ちや辻立ちの場でも、行き交う人たちは傘を差して足早にその場を去ってしまいますし、通過する自動車も窓を閉めワイパーが忙しく動いて視野も狭いので、訴えの効果も半減してしまいます。手渡そうとする選挙ビラも濡れてしまっては読んでもらう意欲も奪うでしょうし、何よりも候補者の演説する周辺で配ろうにも人が集まってきません。

このように雨の選挙戦は厳しいのですが、これから4年間、楽をするために利権と結び付いた有力者のいいなりになるのではなく、有権者の想いを背にして、その実現のために議会において主張すべきは主張し、苦汁を舐めてでも合意を作り上げようという覚悟があるのであれば、乗り越えなければならないハードルでしょう。

選挙ビラといえば、今朝の京都新聞には藤川としき候補と塚本候補の下田組の選挙ビラが折り込まれていました。以前も指摘したのですが広告の束の中に挟み込まれていましたので、探さないと見つかりませんでした。藤川候補は2回目の新聞折り込みなので訴えが積み重ねられていきます。塚本候補は機運を高めるための支援戦力として昨日の新聞折り込みにすべきだったところ、昨晩の総決起集会が不発のまま終わってしまったので虚しい折り込みになってしまいました。選挙事務所では選挙戦全体を通した合理的でしっかりした選挙計画を立てる必要があります。

4月7日の選挙ビラの新聞折り込み

その京都新聞は1面で湖南市選挙区を特集していました。紙面の左3分の1に8段抜きで報じられており、生田市政になってから劇的に露出が減っていた湖南市が突然注目されたことに湖南市民は衝撃を受けていることでしょう。

4月7日の京都新聞1面特集

そこで最初に取り上げられているのは日本維新の会公認の柴田栄一候補でした。

《6日には20ヵ所のスポット演説をこなすなど街頭演説に専念して知名度アップに注力。8日には党幹部を呼び、現職の事務所のそばで街頭演説し対決姿勢を鮮明にする。》

ここでいう「党幹部」とは日本維新の会の馬場信幸代表です。昨晩の塚本候補の大決起集会には立憲民主党の泉健太代表がサプライズゲストとして来訪するという情報が流れ、塚本候補も2日には「良い知らせもあり勇気をいただきました」と投稿していましたが、結果的に参加することはありませんでした。自民党は支部長である生田邦夫市長が立憲民主党に走っているので岸田文雄総裁どころか党幹部すら呼ぶことができない自民党とのパイプが詰まっている地域になっています。

そのなかで日本維新の会の馬場代表は、国政政党の党首として唯一、湖南市入りすることになります。8日11時30分から街頭演説が開かれる「現職の事務所のそば」とは岩根地区に構えた塚本候補の事務所そばの平和堂甲西店前です。

日本維新の会による街頭演説広報

続いて京都新聞は藤川候補を取り上げます。

《無所属の藤川人志樹も「このままではあかん!」をスローガンに変革を掲げる。》

今日折り込まれた選挙ビラでも赤字で大きく書かれた「このままではあかん!」という主張は、現生田市政のままではあかん!と強く訴えているようにも伝わります。その意味で今の湖南市民に対する訴求力はあるでしょう。

《選挙戦が中盤には入った3日から選挙事務所を市南西部の石部から東北部の地元・下田に移した。同じ地元の現職が他地域で事務所を構えたのを横目に、細かに地域を回り、支持拡大を図る。》

ここでいう「同じ地元の現職」も塚本候補です。塚本候補は下田地区が地元なのですが、今回は地元を離れて岩根地区に事務所を設けました。そこに同じ下田地区から生田市長が藤川候補を擁立したことで、これまで一枚岩だった下田地区の住民の間に分断を持ち込んでしまいました。

下田小学校に1年生と2年生の間だけ通った私を「市長は下田の子やないか」と温かく迎え入れてくれる同一意識の高い地域性の下田地区に、同じ自民党のすがぬま利紀候補に対する牽制と塚本候補を落として自民で2議席を独占しようとして藤川候補を擁立した生田市長は、下田を分断させながら、立憲民主党の塚本候補の総決起集会で塚本県議とつながりたいと叫び、自民党支部長としてすがぬま候補を落とすことができずに今晩もすがぬま候補の個人演説会に参加するのでしょうから、不可能な2議席で3人を応援するという計算能力の欠如はものすごい罪つくりだと思います。

そのことは塚本候補についての描写でも明らかになります。

《立憲民主党の塚本茂樹が連携をアピールするのは、市長の生田邦夫だ。塚本は自民県議だった生田が挑んだ20年の市長選で、支援団体の代表に就任。 無投票当選を側面支援した。》

あーあ。露骨に1面に書いてしまっています。ここまで露骨に書いた新聞があったでしょうか。しかも、その支援団体の政治資金に問題があると先に調査報道されていました。実際に生田市長無投票当選のバンザイで自民党県議だった生田市長を左右で挟んで喜びの笑顔を隠さなかったのは、塚本県議と奧村展三元民主党代議士でした。そのときに陣営を染めていたブルーは生田市長が私の父に了解を求めて使用しはじめた谷畑ブルーだったのですが。

バンザイする生田邦夫湖南市長を挟む塚本茂樹県議(左)と奥村展三元民主党代議士(右)

《「県政と市政のパイプ役として働かせてほしい」と力を込めた。病院を経営する生田が持つ支持者も視野に、保守系へも攻勢をかける。》

パ、パイプって何ですのん?別に自民党県議がいるのに、立憲民主党が自民党支部長の寵愛を受けようと争っているのでしょうか?県議は湖南市に施しをするために存在するわけではありません。県全体の方向性を議論するための職責なのです。パイプとなりバラ撒きを公約しながら「子供にツケをまわさない」を使うのは同じフレーズで戦う政治家の冒涜以外の何ものでもありませんし、「政治は未来を語るもの」という姿の対極にある利権政治にもつながります。

しかも、パイプ役として2期8年も県議をしていて、生田市長のために副市長ひとり獲得できないのは、やはりこちら側のパイプも詰まっているとしか見えません。湖南市は副市長が不在で混乱しているのを知らないのでしょうか。それよりも生田市長が県議会議員のときに県庁で余りにも酷い仕打ちを県職員に対して重ねてきたので、誰も湖南市に出向したくないというのが本当のところなのですが。最初からパイプは存在しないのです。

ここで気を付けておかなければならないのは、病院を経営するからといって患者の名簿は選挙に使えないということです。後援会にも入ったことがないのに当時の生田議員から後援会だよりが届いて不思議に思ったことがありましたが、個人情報保護も厳格になった今は患者名簿を別目的に流用すれば必ず医師法違反が問われるので注意が必要です。

そして、すがぬま候補です。記事によれば、すがぬま候補は「自民に新しい風を吹かす」と主張しています。これは重要な指摘です。

実は寄せられた情報の中には、生田県議が私を追い出して市長の席に座ったため欠員となった去年の県議会議員補欠選挙に際して、すがぬま市議と藤川候補の妻の藤川みゆき市議のどちらを候補にするかという問題がありましたが、じっくり政策を聴いて人物本位で選ぶのではなく一発選挙で決めた考えなしの生田支部長の自民党は見限ってこれからは維新を応援すると、わざわざ維新の事務所まで行って候補者本人に伝えてきたという自民党長老の話があります。

すがぬま候補はこうした有権者ばかりかコアとなる党員の自民党離れに危機感を持ち、生田支部長の異次元の妨害を跳ね除けながらも必死になって選挙を戦ってきています。

《街頭では立候補者4人の中で最も若いことや1歳児の父であることを強調した。自民支部長で市長の生田が他候補の応援にも回る中、同市では政治家一家として4代で培った支持層を固めつつ、連日のミニ集会で組織の引き締めと支持拡大を進める。》

昨日の塚本候補の大決起集会で明らかになったのは、立憲民主党の動員力の低下だけではありません。わざわざ生田市長を呼んでいわゆる「生田票」頼みであった塚本陣営は生田票なるものが幻想であったことにも気がついたはずです。

そして、今日のすがぬま候補の個人演説会には、すがぬま候補が連日にわたって実施しているミニ集会で熱い思いを受け取った有権者から声を掛けられた市民が数多く集まればよいと思いますし、自民党支部長である生田市長がどれだけ大物の弁士を呼んで来れるのか、その政治力とパイプの詰まり具合にも注目が集まります。

すがぬま利紀候補の個人演説会広報

今日は夕方まで雨の予報ですが、各陣営とも風邪などひかないように気をつけて頑張ってください。

      (2023年4月7日)

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