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永田町紙屋敷の怪談

 暑い夏も過ぎ、朝夕めっきり涼しくなり、秋の季節が深まりつつあるこの時期、まだまだ汗をかき、暑苦しいのが自民党総裁選です。
 怪談と言えば夏が相場なのですが、秋になってもまだまだ熱戦を繰り広げている自民党総裁選に関して、怖~いお話をさせてください。その話の恐ろしさに気づき、行橋市議会の小坪慎也議員と思わず首をすくめたものでした。

 9月17日から自由民主党のトップを選ぶ総裁選挙が告示されました。河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4候補が名乗りを上げ、熱い舌戦を展開しています。
 それと並行して、自民党では有権者となる党員・党友に向けて投票用紙が一斉に発送されました(富山テレビのニュースでも17日には県連が県内の党員・党友に総裁選の投票用紙を発送したと報じていました)。

 それが翌18日ごろから順次、党員・党友の手許に届き始めましたが、ここで不思議なことが起こっているのです。

 自由民主党大阪府連から投票用紙が届いたHITOMIさんは驚きを隠せません。

え?
 私…自民党なん😯?
 総裁選挙投票用紙届いたけど全く身に覚えがないんだけど
 どうなってるんやろ?💧

 biwakomusiさんも、自由民主党滋賀県連から投票用紙が届いた日に思わずtweetしました。

自民党の党員、党友でもなく
 会費払った記憶も無く、
 そもそも自民党支持者でもないのに、

 自由民主党滋賀県支部連合会から
 総裁選挙投票用紙の往復はがきが
 きた…

 謎

 と不思議に思っていると、「河野太郎さんから電話が2回もかかってきた。聞くことはないのでブロックした。電話番号まで自由民主党に登録されているのか。」としています。

 biwakomusiさんが河野太郎さんをブロックしたというのを読んで、私も河野太郎さんにはエゴサで一方的にブロックされていたのでブロック太郎も肝心なところでブロックされ返されるのかと笑ってしまいましたが、biwakomusiさんは電話番号まで自民党に登録されているのかと訝しんでいます。本人が知らないうちに登録しているのであれば、個人情報の違法な流用の可能もあります。

 なぜこんなことが起こるのでしょうか。
 そのからくりは、Panaoさんや朝森久弥さんの投稿から知ることができます。

ウチは夫婦共々アンチ自民なのに、夫の職場の理事長が自民党なため従業員は自動的に党員にされているらしく、総裁選の投票用紙が来た。本人の意思を確認もせず勝手に党員にするのってどうよ

僕は日本共産党支持者ですが、自由民主党総裁選の投票用紙が無事に届きました。

 すなわち、自民党の党員・党友の登録の仕方が厳格な管理をされていないというところに問題があるのです。党員・党友の獲得については、国会議員、地方議員ともノルマが課せられますが、それを達成できず、どうしても数を稼げないときには、例えば会社の社長などに頼み込むことがあるそうです。党員になると党費を納入しなければならないので、お金がかかります。
 その実態を聴いていると、10人の党員が必要であれば、10人分の名簿と党費をまとめて納入しても問題ないようで、Panaoさんのようにアンチ自民なのに、雇い主が勝手に名前を借りて党員に登録して党費を納入してしまうこともできてしまうのです。なので、朝森さんのように、共産党支持なのに無事に投票用紙が届くこともあり得るのです。
 そして、怖いことに、この党員名簿は市役所や町村役場が管理している住民基本台帳と突き合わせることはありません。すなわち、登録されている党員の名前が実在の人物なのかどうかわからないのです。性善説に基づいて党員が名簿に記載されているということで、実際には党員拡大に従事している現場ではそれ以上確認のしようがないといいます。また、紹介議員の方でも、党員が辞めることで党員の数が減ると新たにノルマが生じるのでそのままにしておき、党費を肩代わりして名義を置いておいたりすることもあるそうです。つまり、党員・党友に対して投票用紙を送付していますが、投票する有権者が実在しているかどうかは性善説に基づく名簿で管理されており、実際に確認されていないことが多いのです。そこはあくまでも性善説なのです。

 しかも、普通の選挙では許されないことですが、今回は党員の中の数多くのネット民のみなさんが投票用紙の画像をネットに上げています。圧倒的に多いのは高市早苗さん支持のみなさんですが、よく見ると透かしも何もない一般的な紙に印刷されています。また、都道府県連ごとにバラバラの仕様で、プロテクトシールも貼らないという投票用紙のようです。

 ということは、透かしもホログラムも何も偽造防止が施されておらず、かと言って特殊紙に印刷されているわけでもなく、全国統一的仕様で少しでも本物と違っていれば気がつくというものでもなく、投票内容は見えたままというのです(投票内容が見える点については、政治評論家の田崎史郎さんが今日の「ひるおび」で発言しています)。

 ここからが問題です。

 まず、名簿が管理されていないということは、有権者が確定していないということであり、誰が投票したかわからないということになっています。ネット上では投票用紙が10枚も届いたので調査してほしいと騒動になっていますが、実は10枚どころかシステム上は党費をまとめて納入して住所を1か所に登録していれば100枚でも1000枚でも一度に届くことはあり得ますし、公職選挙法が適用されるわけでもないので何の問題もありません。清き1票と思って多くの党員が投票していますが、そんな1票を吹き飛ばすような組織的な投票も可能になっているのです。

 それよりも深刻な問題は、投票用紙の仕様自体がバラバラなのでそれぞれ偽造されても本物かどうかを一元的に確認することは困難であることです。仕様がバラバラなのでムサシのような機械で一律に確認することもできず、県連ごとに人力で確認をし始めると膨大な物理的労力を必要とすることになります。
 そして、ネット上にたくさんの投票用紙の画像が出回っていますので、例えば、東シナ海の向こうの辺りの工場で投票用紙を大量に偽造して航空便で国内に送り付け、せっせせっせと投函するということは可能だと思うのです。何せ、システムがここまで杜撰であるにもかかわらず「秘密投票」が建前なので、誰が投票したのかを投票用紙から確認する手立てがないのです。
 考えたくないことですが、他国がその国と思想的に似通っていたり、ビジネス的につながりの太い候補について大量に偽造投票したとしても、確認のしようもないし、その結果、第1回投票で地滑り的な勝利となり、総裁にまでなってしまったとしたら目も当てられません。
 もしかしたら、党員が名簿には110万人しかいないのに、蓋を開けると28日には郵送されてきた投票用紙が全部で200万票に達するとも限りません。技術が進化しているので、この程度の投票用紙であれば偽造も瞬時に行うことは可能なのではないかと心配してしまいます。

 何よりの問題は、今の制度上では、こうした1票の重みが考慮されないシステムで地方票なるものが積み上がり、議員票と同じ重みをもって選挙結果を左右するのです。そして、その結果が自由民主党の次の総裁を選ぶこととなり、その政権党の総裁が国会で内閣総理大臣に選出されるのです。
 私たちの国の総理大臣が選出されるおおもとが、実在しているかいないかもわからない党員により選出される総裁であるという点が大きな問題なのです。党所属国会議員だけの選挙もしくは国会議員に都道府県連が加わるくらいであればよいのですが、今は党員票に大きなウェイトが配分されており、なによりもその党員票の投票行為を行う党員に党員資格があるのかどうかを確認することができないというので大問題なのです。
 地方票が大事だという割には、その地方票の正統性が根底から崩れるということは、その地方票が半分入った第1回投票の結果の上に乗る決選投票や、さらにその結果を受けた国会での首班指名選挙についても、正統性が得られないということになるのです。そして、その正統性が不確かな内閣総理大臣を 天皇陛下は任命されなければならなくなるのです。 天皇陛下を大切に慕い想う保守の多い自民党でこのようなことが許されるのかは注目に値します。

 あ、そんなことを調べていたら、メルカリに売っていた。1枚100,000円だそうですw

総裁選挙の投票用紙です。
 自民党員でしたが、政治に興味がなくなりましたので、お譲りします。
 価値が分からないので、値段交渉OKです。
 一番高かった方にお譲りします。
 期限がありますので、普通郵便の速達でお送りします。

 どうも政治関係者や評論家やマスコミのみなさんは、地方票が何票だとか、議員が何人だとかばかり追いかけていますが、民主主義の基本を忘れてしまっているのではないかと心配しています。直近では大洋を挟んだ隣国の大規模な郵便投票の不正選挙の事例🃏もありましたし、ね。
 番町皿屋敷では「い~ちまい、に~まい」とうらめしそうに枚数を数えるシーンがありますが、まさに接戦の総裁選、永田町紙屋敷ではまさに投票用紙をめぐって恨めしい状況になりそうです。その結果が、「異次元の総裁選挙」から生まれた「正統性に欠けた内閣総理大臣」を輩出してしまうということにつながるかもしれない、そういうお話です。

 どうです。怖かったでしょう。


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