見出し画像

倫理観をアップデートしていくこと

こんにちは、Voicy News Briefでパーソナリティーをしている浅野です。新年最初1月4日の放送で、ハーバード大学の学長が辞任する、というニュースを読みました。

この辞任は論文の盗作疑惑と、人種差別に関する倫理観という2点が主な理由となっていました。

今日は放送のエンディングでもお話ししたダイバーシティとインクルージョンについて、私たち自身の倫理観をどのようにアップデートしていくべきかについて考えてみたいと思います。


アメリカ議会での議論

先月上旬(2023年12月)、アメリカ議会で行われた議論において、特に注目されたのが、Harvard大学のGay元学長の答弁でした。(University of PennsylvaniaとMITの学長も出席)

答弁のハイライトであり、問題となったのは、「ユダヤ人のジェノサイドを要求することがハーバードのいじめや嫌がらせの規則に違反するかどうか」という議員からGay氏への質問でした。

“At Harvard,” Ms. Stefanik asked Dr. Gay, “does calling for the genocide of Jews violate Harvard’s rules of bullying and harassment? Yes or no?”
議員の質問:「ユダヤ人の虐殺を求めることが、ハーバードのいじめ・ハラスメントのルールに抵触しますか?YesかNoで答えてください。」

“It can be, depending on the context,” Dr. Gay replied.
Gay氏の回答:「あり得ますが、コンテキスト(発言の文脈)によります。」

英文はThe New York Timesより。訳は著者による。

責任ある立場の場合、色んな事情を考慮して例外を残す、というのは割とよくある回答です。
Generally, とか「一般的な場合」、などで基本的な立場を示しつつ、例外の余地を残す、というのはすべての条件を網羅的に検討していない中では合理的な回答です。

この学校内での懲罰規定に抵触するか、という場合は、例えば学生がふざけて言ってしまった場合などが含まれるのかな、と個人的には思っていました。

Toleranceを受け入れるべきでないケースがある

2023年12月上旬にこのニュースが出た時に、「言葉を選んだだけで、そこまで邪悪なことは言ってない」という認識であったのですが、一方で米国内での非難や辞任要求は高まっていきました。

ここに、私の倫理観との違いがありました。

そして、University of Pennsylvaniaの学長は辞任し、Harvardも当初は黒人初の学長をサポートする立場を表明していましたが、2024年1月2日にGay氏は辞任を表明しました。

この問題をめぐる倫理観

辞任ニュースが出た際に、オーストラリア人の友人に、これってそんなにヤバいの?という主旨の質問をしたところ、

I'd ask, what context would it be OK to call for a genocide against Jews?
逆に、どんな文脈ならユダヤ人のジェノサイドが許容されるわけ?

という質問を返されたんですね。
私はニュースを皆さんにお届けする身ながら、この質問でハッとさせられました。

もしJewsをAsian, Black, LGBTQ+とかにParaphrase、言い換えしてみたら明らかに一発アウトなわけですよね。文脈なんて関係なく。

日本では2023年にLGBT理解増進法が成立しましたが、そもそも世界では「不当な差別」なんてなくて、全ての差別は絶対に許容できない、そういう倫理観・価値観がリベラル層の支持を集めています。

(アメリカでも民主党と共和党の支持者で異なったり、ヨーロッパでも移民排斥などの運動が増えている為、一概にスタンダードとは言えないかもしれませんが)

倫理観の継続的アップデートの必要性

このニュース、そして友人との会話を経て、私は自分がリベラルだと考えていながら、差別を無意識のうちに許容してしまっていたのだと認識しました。

全ての人が自分らしく生きられる社会・組織があるべき、という基本的なスタンスから、例外を許容してはいけない事もあるのだと学びました。

Chat GPTをはじめとして、AI技術の進化に伴い、我々ビジネスパーソンはアイデアやアウトプットをこれまでとは比べ物にならないくらい沢山、高品質に出すことが出来るようになりました。

人間の役割として、こうしたAIの産物を、これまで以上に高い倫理観や価値観で判断していく事が求められています。

世の中の風潮・トレンドを必死に追い続ける、という受け身のキャッチアップではなく、
あるべき自分・あるべき社会の姿を、自分の考えや世の中の出来事・思想に照らし合わせ、時折見直す。
そして、それに向けて日々の行動を取っていく。

そうした日々の積み重ねが2024年以降は重要になるのかなと思います。

終わりに

という事で、ぜひ皆さんも自分の倫理観を時折見直し、アップデートしてみてはいかがでしょうか。
Voicy News Brief、NewspicksやXなどでニュースに関するコメントをしたりすると、ただ流し読みするより背景を調べたり自分の考えを整理することができるのでお勧めです。

私とは異なる意見や考えも大歓迎ですので、ぜひXやコメント欄でご意見をお寄せください。

ではまた。

参考リンク

(NYT) Harvard President Resigns After Mounting Plagiarism Accusations

Voicyの放送で紹介した記事です。

(NBC) Harvard President Claudine Gay announces resignation

Gay氏の議会答弁が見られます。

(Voicy News Brief) ハーバード、黒人初の新学長を決定 | Harvard Names a New President

2022年12月の就任時の放送です。https://r.voicy.jp/259Dey2WVNo

(Voicy News Brief) ハーバード大学学長、議会証言を謝罪

2023年12月、議会証言時の放送です。https://voicy.jp/channel/1111/678128


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?