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社名を出さずに合同企業説明会やってみた結果

こんにちは、羽田です。就活やキャリア教育周辺で仕事をしてます。学生と近い距離にいながら彼らの感覚や行動を観察し、それをサービス開発やクライアント企業の新卒採用支援に活かしています。

今年の1月に、25卒就活生向けに「社名を出さない合同企業説明会」というイベントを企画して開催しました。9社参画、学生は110人程参加してくれました。
何でこんな企画をやろうと思ったか、やってみてどうだったのかについて書いていきます。

社名という呪い

独立以来、僕がビジョンとして掲げているのは「個人をしがらみから解放する」です。ここでは割愛しますが、僕自身があらゆるしがらみにまみれて息も絶え絶えになった経験があるので、一人ひとりがしがらみから解放されてみんな好きにやればええやん、と思っているのです。

この「しがらみ」には色々な種類があるのですがそのうちの一つに「人の目」があります。自分がどう感じるかではなく、自分以外の誰かの価値判断の基準によって揺さぶられてしまう。んで、その結果良くないことが起こるー。

そして学生の就活の場合、このしがらみを引き起こすものの一つが「社名」です。

「社名」、もっというと「名前」はその対象を識別する為のとても便利な機能なわけですが、学生の就活では余計なバイアスを引き起こす要因の一つになってしまいます。

社会に出ておらずビジネスや仕事のことが分からない学生の場合、「社名」はその会社を知っているか知らないかの判定をするものでしかありません。そしてそれがそのまんま「他人の目を気にするブランド志向のマウント合戦」の装置になってしまいます。

また、不景気かつ社会不安が続いた時代を生きてきた今の学生にとって、「知らない会社」は不安の対象でしかありません。「知ってる会社=安定してる会社」なのです。

結果、「知ってる会社=良い会社」になってしまう。

自分が大切にしたいことをちゃんと言語化し、企業の目を養える学生なら無意味な社名のマウント合戦を回避し、知らないけど自分に合う会社にも出会えるのですが、厄介なことに2024年現在の学生にはその機会があまりありません。大学3年に入るまで普通に生活していたのに3年生になった瞬間の4月から実質的な就活が始まり、夏のインターンの〆切が6月とかに来るのです。そこから先の流れは本記事の趣旨ではないので割愛しますが、とにかくほとんど何も分かっていない状態で受ける会社を選ばなければならない」のが今の就活生なのです。

羽田スライドの抜粋

と、なると聞いたことがあったり知ってる会社から見るのは人間として当たり前の事。僕はよく初めての京都旅行に例えるのですが、初めて京都行く人はみんな金閣寺か清水寺なのです。それと一緒で、知ってるか知らないかが、ファーストキャリアを決める要因になってしまう。

これはもはや、呪いです。社名は、呪いなのです。

だから一度やってみた結果

聞いた事がある会社と聞いたことがない会社の話を聞ける場合、上記の理由で聞いた事ある会社を選ぶ学生が大半です。
であれば、社名を全社隠した状態で合説をやったらどうなるか、そんな実験をやったのが今年の1月。25卒学生対象にオンラインでやりました。

9社が参画し、参加学生は約110人。そもそも学生は来てくれるのかと不安で一杯でしたが、当初目標としていた100人を越える事ができました。参加理由を聞いてみると、「社名以外の出会い」や「単純に面白そう」が多かった。みんな、社名という呪いに縛られてる事に気づいているんだと思います。

社名ではなく企業の魅力だけで話を聞く企業を決める

社名じゃなくて、こんな感じでその企業が打ち出したい「働く魅力」で訴求。ここで何かを感じた会社の話を聞いて最後に社名が出る、という仕組みです。

イベントの詳しい仕組みは割愛しますが、ここで出会ったご縁でその後選考に繋がったり、結果的に入社を決めてくれた学生も出てきました。

課題はもちろんありますが、初めてやった実験としては成功だったんじゃないかと思っています。

という事で、26卒シーズンで本格的に始めていきます。1回目は9月。時期としては夏インターンの終盤戦で、学生も色々な事がわかり始めつつ、葛藤し始める頃です。

9月を皮切りに、11月以降もちょいちょい開催します。ただ、僕らがやりたいのは「良い出会い」なので、イタズラに拡販していこうとは思ってないし、必要以上に規模拡大をしようとも思っていません。各開催日の最大参画社数は4社。出展企業が埋もれる事なく、学生も消化し切れる量です。

「社名出さずに本当に成り立つの…?」と不安に思われる企業さんもいらっしゃるので、合説としては珍しい成功報酬プランもご用意しました。
実験だと思って、面白がってくれると嬉しいです。

こういう、何かどんな感じになるか分からんね、というちょっとしたワクワク感が就活にあってもいいと思うんですよね。何か今の就活マーケットって、無機質で予定調和でギスギスしてる感じがしてる。人のキャリア、人生に関わる業界なんだから、余白やワクワクがあってもいいと思うんですよね。


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