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未来の世代のために

2007年に幼児教育施設を立ち上げ、今年で18年目になります。

いまの子どもたちが社会の中心になっている2050年は、どのような時代になっているでしょうか。そこで求められる人間像にはどのような資質が必要とされるでしょうか。

昭和から平成、平成から令和へとこれまでの時代は平和で経済的にもまだ安定した時代だったのかもしれません。

これからの時代は「インターナショナル」や「グローバル」という視点だけではもの足りない、"持続可能な社会(SDG)の担い手を育む" と言われるように「地球規模」で共存共栄を考える価値観が求められることと思います。

”地球規模で共存共栄を考える”ことは机上の学習だけでは皮膚感覚として分かりません。自然を身近に感じる環境で育ち、恩恵や畏敬を感じながらその中で人間関係を育むような原体験がなければ共存共栄の価値観や視点をもつことは難しいものです。

一方でただ自然の中にこどもを放てば育つというものではありません。複雑で正解のない人間社会で強く生きていくためには、幼少期は何より愛着関係の土台が必要ですが、個性や表現力の育ちなども将来のためには支援が欠かせません。

私は2007年に「新教育デザイニング」という会社を設立し、一貫して”世界のどこでも、自分らしく、力強く”という方針で主体性を尊重し、一人ひとりの強みや光る個性を育てる教育を実践の場で推進してまいりました。


では、よい環境とはどんな環境か、関係者も親御さんもみんなが考え続けてるテーマだと思います。これには様々な考えや方法論があると思いますが、私の考えは主に2つに絞られます。

1)子どもの発達は自然の上でで促されるようになっていること。
私たちの本能は何百万年もの蓄積によるもので、これは土の上での生活から養われたものです。皆さんも、私も、子どもたちも。私たちは人格形成期である幼児たちを、本来の場所、自然の中に還してあげないといけないのです。
とりわけ、発達に課題をかかえる子が増えている現代ではもっと屋外(出来るだけ自然の中)で生活する時間を増やし、保育者や支援者、保護者もともに屋外での援助スキルを磨くことが子どもの成長に最もよい影響を与えると思います。

今年から始めるムッレ教育の"ムッレ"の語源は「土壌」という意味から来ています。自然は四季があって4つで変わるのではなく、毎日毎日一年365日、空気、土、草花、生き物、落葉などが「絶えず変化」しており、一度として同じ状況はありません。幼児は大人が気がつかない変化を毎日五感で感じており、その変化の中で試行錯誤しながら創意工夫して遊びを考え、人間関係までつくっていきます。

私たちの将来は変化に溢れた不確実な社会であり、いまの子どもたちはその中を生きていかねばなりません。いつの時代も頭がいい人や体力がある人が生き残るのではなく、「変化に対応できる人間」が生き残ります。自然の中で毎日変化を感じながらそれを自力で乗り越えて育った子は将来、様々な変化に対応できるようになります。

2)2つめは、家庭という受け皿です。
保育園が無償で大変便利になり、多くの子どもたちが毎日10時間もの長い時間そこで過ごしていますが、施設や保育士がどんなによくても50点ぐらいにしかならないということです。残りの50点は家庭に属します。

一方で、その家庭は「孤育て」や「不安定」になりがちな時代となりました。近所や親戚で育て合う文化も消滅しつつあります。都市部だけでなく地方でもそれほど変わりません。

必要とされるのは家庭に対して子育てへのスキルをシェアし、安定につなげていくこと。これには保育士からだけでなく、様々な経験者や専門家の支援も必要だと思います。みんなで家庭を支える高度なしくみが早急に必要です。

2050年にむけて、社会は不安定な経済状況、少子化による地域の消滅、戦争や大規模災害など様々な不安定要因に囲まれています。

子どもたちには、自分の手足で、じぶん自身で自律的に生きていくスキルを幼少期に確立し、心身ともに強い安定感をもって未来の不安定な社会をたくましく生き抜いてほしいと思います。そのために最大限の力を尽くして貢献したいと考えております。

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