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マリーゴールドにレモン

花壇でも野山でも花が咲く季節になった。

この花は○○、この野草は○○という話を人から聞きながら考えていたのは、いったい何種類ぐらいの花の名前が「常識」の範囲なんだろうということ。

タンポポとか、チューリップは大丈夫か。じゃあ、ヒヤシンス、シクラメン、サルビア。プリムラやメランポジューム、ヘリオトロープなら?どの程度が、知ってて当たり前だよね、と確かめもせず出していいレベルなんだろう。

私の好きな花はノウゼンカズラなのだけれど、好きなのに長らく名前が分からなくて、「庭に咲いてるオレンジのアレ」と呼んでいた。好きな花を聞かれてノウゼンカズラだと答えたら、どれだけの人がはいはいと聞いてくれるのか。結局「庭に咲いてるオレンジのアレ」と言わなければならないかもしれない。

あいみょんの「マリーゴールド」を聞くたびに、ちょうどいいな、と思う。マリーゴールドなら、ある程度多くの人が花を思い浮かべられそうだし、それでいてそこまでイメージが強くついていない気がする。麦わらの帽子の君が揺れたヒマワリに似てる、だったとしたらあまりにも月並みだっただろう。あれはマリーゴールドだから良いのだ。

一方で、例えば米津玄師の「Lemon」なんかは、ガチガチにイメージがあるものを使うから深みがあるような気がする。苦くて酸っぱくて、それでいてすがしい雰囲気のあるレモンは、高村光太郎のレモン哀歌のように喪失感にしっくりとくる。英語では欠陥品、というスラングでもある。こういうモチーフを使って、それでいて俗っぽくないものを作れるのも腕なのかもしれない。

できるかぎり多くのエンターテインメントをストレスなく楽しめるだけの知識は持ち合わせておきたいなと思う。ピンとこなかったら、それは発信側の見込み違いでもあるけれど、こちらの落ち度でもあるからだ。

逆に、めちゃくちゃマニアックなものの名前しか出てこない曲とか作ってみたらそれはそれで面白いかもしれないけれど。「アルソミトラ・マクロカルパみたいに貴方に会いに行きたい」とか。すごい。集中できない。


今日はここまで。ありがとうございました。



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