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自意識への勝利

リサイクルショップに服を売りに行った。

処分する服は基本的に、そのまま捨てずにリサイクルショップには持っていくことにしている。これはもう人が着れるクオリティではなくない?というものも一応一度は見てもらう。

リサイクルショップの服の査定はめちゃくちゃ安い。メルカリなんかに出せばもっと高いかもしれないということはわかっている。それでも、服の管理がヘタクソな上にたいていの服をギリギリまで着潰す人間にとって、人に自分で服の状態なんかを判断し説明して売るのはとてもハードルが高いのだ。

今回は「次の冬はもう会わなくていいなと思った冬服」と「夏が来てタンスに出してみたけれどどうしてこれをとっといちゃったんだろうと思う夏服」を〆て10着ぐらい売りに行った。

そこで言い渡されたのは、今は秋冬服は一律で1着5円になってしまうということ。いや、確かに季節によって額が違うということは知っていた。でももう夏ですぜ???そろそろ準備してこ???夏服50円で買ってる場合か???

一応、店員さんは「この額で買い取って良いですか?」というようなことを聞いてくれる。ぶっちゃけ、いや安くない??と思うことは多い。

でもここで、「そんな額なら持ち帰ります!!」と言うことはとても難しい。買いたたかれるような安い服を持って行って、それでもそれに異議を唱えるような奴だと思われるのが嫌だからだ。そこで口を差しはさむことができない。「アッハイ、大丈夫デス」というような言葉をなるべく、よかろう上等だその額だとお前が言うのなら受けて立つというような気概と余裕を見せつつ答えなければならない。もちろん店員さんは1日に何百人と訪れる客の中の一人にすぎない私が売ってもやめても別にどうってことないのだろう。これは完全に私の中だけの問題なのだ。

しかし、今日はどうしても長袖5円では引き下がれない服があった。グラニフのフリース地のワンピースだ。ハイネックで袖にめちゃくちゃ可愛い刺繍がある。3回ほどしか着ていないやつ。アイドルの冬のコンサートに行くときに推しの色の服が欲しくて買った。とっても可愛いのだが、袖が着物のように開くようなデザインをしていて、ただ突っ立ってペンラを胸元で持っていればよいというようなときでもなければ袖口が邪魔で、実用的とは言い難かった。

こ、この可愛いワンピースが5円だと???こんなに綺麗なのに???5円???

ついに言えた。「すみません、これだけ止めさせてもらってもいいですか?」

店員さんは別に普通に承知しました、と言ってワンピースを返してくれた。その後はそれ以外の服が滞りなくドナドナされていった。

ワンピースを手に店を出ながら、勝ったぞ……!と思った。あそこで流れに負けずに声を発することができた。自意識への勝利である。

腐ったピーマンですら流れに負けて返品を言い出せなかった自分にとっては大きすぎる進歩。こうやって積み上げていきましょう。成功体験を……


まぁでもワンピをどうしようかは全然考えてなかったな。メルカリかぁ……

今日はここまで。ありがとうございました。

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