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#90「主役と脇役」4年 田中心

 物語には憧れとなる主人公とヒロインがいる一方で脇役が存在する。漫画やドラマでは主人公やヒロインが物語の中心として進むことが多く、幼少期は誰しもが憧れの眼差しを向ける対象となるだろう。しかし、物語にはなくてはならない存在がほかにもある。それが脇役である。主人公がつらい時や壁にぶつかった時、何気ない日々の中で共に歩み、共に学び、共に成長する脇役がいるからこそ物語は進んでいるのである。人生にもこれが当てはまるのではないだろうか。誰しもが自分の人生という物語の主役、主人公であり、誰かの物語の脇役である。このノートは選手という主役からコンダクターという脇役(選手を続けるみんなにとっての)になった僕の物語、そして関学サッカー部みんなの物語のほんの1ページである。


 皆さん、おはようございます、こんにちは、そしてこんばんは。2024年度4回、学生コンダクターの田中心です。たいせい(歴戦の友(コンダクター))に経歴を書けと言われたので軽く書きます。
小学・・・京都暁フットボールクラブ     
     京都府トレセン、関西トレセン、フットサル全国3位
中学・・・ヴィッセル神戸伊丹U-15   
     兵庫県トレセン
高校・・・履正社高校  

 こんな経歴の私が伝えたいことは誰しもが物語の主役で脇役であるということだ。すべての人は自分の人生にとって自分が主役である。自分の人生を全力で謳歌すればいい。そんなあなたも脇役になる時がある。自分の人生で感じたこと、学んだことを人とのつながりの中で伝えていく。その一つの場として今回のノートがあると私は捉えている。

 私の好きな脇役を紹介しよう。漫画「NARUTO」の奈良シカマルである。私が「NARUTO」の中で一番好きなキャラクターである。簡単にキャラクター説明をすると、うずまきナルト(主人公)と幼少期から付き合いがあり、成長してからは相談役のような立ち位置のキャラクターである。また、IQが200越えと頭がいいながらに口癖が「めんどくせぇ」という何とも言えない天才である。そんなシカマルのエピソードを一つあげよう。大好きな師匠である自来也が戦死し、立ち直ることができないナルトをシカマルが励ますシーン。

 最終的にはナルトが火影(里のトップ)となり、シカマルは補佐でナルトを支えることとなる。このシーンは主人公の心的成長に大きな影響があったと私は考える。シカマル自身もストーリー中盤で師匠を亡くしている。師匠の敵を討ち、師匠から託されたものを今度は託す側へと成長していく。その経験から学び考えたことを伝えていく彼がいたからこそ主人公は苦難を乗り越えることができた。めんどうくさいことが嫌いでもやるべきことはやり切る。これが奈良シカマルである。脇役でありながら主人公に大きな影響を与え、物語のキーパーソンとなる。彼のような脇役がいるからこそ物語は進んでいく。人生という物語でも同じことが言えるのではないだろうか。多くの人には憧れや尊敬する人やキャラがいると思う。その人はあなたの人生にとって脇役であり、キーパーソンとなる。そして今度はあなたが学び感じたことを誰かに伝えていき、あなたが誰かの人生の脇役、キーパーソンとなる。主役がいて脇役がいる。だからこそ物語は進み続けるのではないだろうか。

 私は大学3年生から選手をやめ、コンダクターという道に進んだ。ほかのコンダクターという道を選択した同士たちと比べると理由は希薄だったと思う。「面白そうだから。新しいことをやりたいから。」ただそれだけ。今年度の関学サッカー部はチームのために動く選手が多くいる。でも正直、私は自分のために行動することが軸になっていると思う。「自分にとってその行動が成長につながっているかどうか。」自分の成長のために今年度からたいせいとDチームを率いることになった。3年生まで続けた学連もトップチームの試合を毎週見れるから、という自分にとってその行動がどう影響を与えるのかが第一だったと思う。自分にとって重要かどうかが大切であり、言い方を悪くすればそれ以外はどうでもいいわけである。

 しかしコンダクターを始めて、うれしかったことが3つある。1つ目はBチームで日本一になった時、当時キャプテンだった板舛君(我らが最高のキャプテン)に言われた一言である。常にチームを気にかけ、後輩から絶大な尊敬・信頼・人気の板舛君から「お前らがコンダクターで良かった。」といわれたのである。当初コンダクターになりたての私たちはユニホームの色ミスや声掛けの不足など問題が多くあったと思う。それでも我慢強く丁寧に「こうした方が選手はわかりやすい。」など教えてくれ、そこから徐々にできる幅が広がったと思う。そしてBチームは全国大会優勝。最高のキャプテンからの最高の一言。うれしい以外なかった。自分のためにと思って始めたことが人にここまで言ってもらえることに。


 2つ目はBチームで全国大会優勝後、なる(徳弘匠ことなるくん)が追加でAチームのメンバーになったことである。同期であり、Bチームとして1年間共に頑張ったこと、自主練などずっと頑張っていた姿を近くで見ていたからこそあまり人に興味関心がない自分も素直にうれしくて応援できた。(こんなことなるには言ったことないけどね)
 3つ目はDチームからCチームに昇格する選手が出たときである。Dチームを率いることで練習などもすべてつくらなければならない。その影響で練習時間より早めに来て前カテゴリーの練習を見て、どんな練習をしているのかなどアイデアをもらったりしている。選手が成長するためにどんな練習が必要か。5月あたりまではチームビルディングとしてどう立ち回ればいいのかわからず、難しい期間があった。しかし、色々な人と話すことでDチームとしてCチーム昇格を目指すという当初の目標を再認識することができ、昇格する選手が増えたことがとてもうれしく感じた。上で活躍するようになった選手(主役)が少しでもDチーム期間に意味を見出せてくれればそれは彼らの物語の脇役となれた証拠ではないかと思う。



 今まで自分のためが大半を占めていた私にとって、人のために何かすることも案外悪いことではないと感じた。自分のために行ったことが人のためになっている。そして人のためにと思ってやったことが自分のためになっている。ワンフォーオール、オールフォーワンとはこのことだと改めて実感した。

 私はコンダクターという道が脇役になったとは思っていない。私の人生にとっては私が選んだすべての選択が主役である。しかし、選手を続けるみんなにとっては脇役であるとも理解している。だからこそ私の立ち位置の人間がどう選手のみんなにかかわりを持つのかがとても大切である。つらい走りや理不尽な要求などみんなにとっては言えない不満があるだろう。それでも私とかかわり(Dチームとして、先輩後輩同期として)を持てて良かったと思ってもらえたら、私がコンダクターという選択をしてよかったと思える1つの要因となるだろう。

 残り少ない期間、多くの人(例:なる、おやま、りょうたろうせいた、かず等)にダル絡みすることをここに誓い、私のノートとさせていただく。ご愛読ありがとうございました。

 関西学院大学体育会サッカー部4年
コンダクター 田中心

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