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認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)のトレーニングレポート

プロダクトデザイナーの@kgsiです。

この記事は先日認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)のトレーニングを受けた筆者が、トレーニング内容と受講した感想、どんな人にオススメできるかをまとめたレポートです。

筆者の紹介

  • HR系メガベンチャー勤務のプロダクトデザイナー

  • ちゃんとしたスクラム開発経験は約2年

  • ウォーターフォールの受託案件や、小さいプロジェクトのオーナー経験はあるが、ちゃんとしたプロダクトオーナーの経験は無い

なぜトレーニングを受けたのか?

所属している会社はアジャイルな文化作りを推進しており、特にスクラム開発については、1年チームに所属するだけで一通りの体験経験を詰めれるぐらいに充実してます。

組織内でも横断的に実施されてる学習イベントも豊富で「アジャイルとは?」「スクラムとは?」を学びやすい環境です。

そんな環境でなぜ社外のトレーニングを受けたのか…というと、今年の3月から、一プロダクトのオーナー的な役割を担うことになったからです。

具体的には、プロダクトの舵取りや方向性をどう決めればよいか?プロダクトバックログアイテムの判断…など、プロダクトオーナーがやってきたそれら判断を、網羅的に学ぶ必要がある…と考えました。

プロダクトオーナーの業務や役割については、社内ドキュメントはある程度ありつつも、体系立てられた学習機会がまだ整備されていないのと、社内アジャイルコーチに「スクラムプロダクトオーナー(CSPO)」というトレーニングがあることを教えてもらい、参加検討することにしました。

認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)の概要

認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)はトレーナーによって内容が異なり、時間や日程もばらばらです。
自分が受けたトレーニングは以下になります。

講師はJoe Justiceという方で、MicrosoftやAmazon、Teslaでも活躍されたベテランのアジャイルトレーナーです。

このトレーニングはオンライン開催で、費用は2日間で16万(税込)です。ちなみに今回もろもろの事情で、会社から費用が出なかったので自腹で参加することに。
安いとはいえ個人で払う金額としては高額なので、シビアに各トレーニングの内容を精査しました。

参加の決め手

もろもろ吟味した結果、以下の理由でこのトレーニングに参加することにしました。

  • 網羅的にプロダクトオーナーという役割を学べそう

  • TEDの動画を見て興味が湧いたのと、参加された方が書いた研修レポートを見て、直接質問できるのがよさそう

  • 他のCSPOトレーニングは20万超えの研修が多い中、16万円と価格がリーズナブル

トレーニングの流れ

Miroの画面キャプチャ:スクラムプロダクトオーナーのトレーニングはMiroを使って行われる
スクラムプロダクトオーナーのトレーニングはMiroを使って行われる

トレーニングはMiroとZoomを使って行われます。時間配分は体感座学:3、チームのワークショップ:7でした。レクチャーよりも、実際のチームの動きを体験してもらうことを重視しているようです。

大まかな流れは以下の通りです。

1日目

参加者同士の擬似的なスクラムチーム組成やオンボーディングを含め、以下の項目を学びます。ちなみにチーム組成前にどんなプロダクトを作るか…を決めますが、この回では「コーヒーショップを作る」というテーマが与えられました。

  1. オンボーディング・チーム組成

  2. アジャイルの概要

  3. 請負契約・アジャイル契約

  4. メタスクラム(プロダクトゴール設定)

  5. ビジュアルビジョンステートメントの策定

  6. ペルソナ作成

なお、プロダクトオーナーは原則チームに一人ですが、トレーニングの構成上、講義のセクションごとにプロダクトオーナーの役割を交代して体験してもらう形式で実施されます。

2日目

前日に作成したペルソナやビジョンを元に引き続きワークショップを軸に行われます。

  1. ユーザーストーリーの策定

  2. リリース計画

  3. リファインメント(今までの総復習、一番時間が長いワーク)

  4. ケーススタディを元にしたチーム内での議論

その他補足

  • 昼休憩(60分)とコーヒーブレイクタイム(15分)が各日程に入る

  • 英語は同期的な翻訳。同時通訳でなくJoeさんが喋ってからの翻訳なので聞き取りやすい。翻訳の質自体も良い

  • Miro上で気になることを付箋に書いておいて、非同期に質問が可能。翻訳も随時行ってくれる

  • 同期的な質問も可能。その日のトレーニング完了後に20分ほど質問コーナーがある

参加してみた感想

プロダクトオーナーの役割や判断を網羅的に学べる

アジャイルの考え方、ペルソナやユーザーストーリーの作成、プロダクトバックログアイテムの優先順位付け…など、プロダクトオーナーに必要な判断基準を網羅的に学ぶことができます。
アジャイルの経験値が多少ある方からすると、どれもわかりやすい内容です。

巨大IT企業のアジャイル知見を聞き、質問できる

このトレーニングの最大の売りは、経験豊富なトレーナーにMicrosoftやTeslaなどで実践したアジャイル開発のノウハウや知見を聞いたり質問できる点です。
イーロン・マスクやビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾスの元で働いた際の経験、考え方、具体で開発チームがどう動いたのかを伺えます。

どんな人にオススメか?

このトレーニングは以下の方にオススメできます。

  • これからプロダクトオーナーになる・なりたい方

  • アジャイル開発の大まかな流れを理解したい方

アジャイル開発は、理論よりも実践経験を積むことが何よりも大切です。自分の場合、既に実践的なスクラム開発を体験しているため、用語や各フローについて違和感なく吸収できました。

なお「スクラムってなんだろ?」「ウォーターフォール以外の開発経験がない」という方がこのトレーニングにいきなり参加した場合、あまりピンとこないと思います。そういった方はSCRUM BOOT CAMP THE BOOKなどの参考書籍を読んでくるか、「認定スクラムマスター」を先に受講したほうがよいでしょう。
また、既にプロダクトオーナーを経験されている方は、発展的な話が少ないので少し物足りないかもしれません。
別のトレーニングか、あるいはプロダクトオーナー関連の書籍輪読などを開催してみると良いかもしれません。

最後に

このトレーニングの終了後、スクラムプロダクトオーナー(CSPO)の認定資格が試験なしに付与されます。しかしこの資格がイコール(=)プロダクトオーナーとしての職能を保証することはないです。

認定スクラムプロダクトオーナーの証明書のキャプチャ画像
ScrumAllianceで発行できる認定スクラムプロダクトオーナーの証明書

アジャイル系の資格は、資格そのものにはあまり価値が無いとも言われています。座学や理論はもちろん大切ですが、実践と経験がそれ以上に重要だからです。
「資格の価値」に言及するならば「アジャイルの文化や開発手法に興味を持ち、それを学習しようとする姿勢を表明できること」と筆者は考えます。

とにかく重要なことは、実践を通してインプットとアウトプットのループを回していくことです。今回得たチャンスとタイミングを利用し、今後積極的にそれらができればと思っています!

おまけ情報

プロダクトオーナー役割を紹介した動画が無償で公開されています。

また、トレーナーの書籍も販売されています(スクラムマスター向けです)


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