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望みに進む~J2リーグ第38節 ヴァンフォーレ甲府 vs 鹿児島ユナイテッドFC レビュー

★試合結果

図6

★今節のスタメン・交代

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 ホームの甲府はドゥドゥが現在負傷離脱中。チーム状況として直近の第36節 栃木SC戦、第37節 東京ヴェルディ戦、天皇杯準々決勝 V・ファーレン長崎戦の3試合連続で立ち上がりに失点、もっと厳密に言うと開始8分で失点している。その解決策としてゲームコントロール、チームコントロールのできる山本英臣が10試合ぶりに先発。今季からチームキャプテンに就任した小出と今季初めてそろっての先発出場となった。

 対するアウェイの鹿児島はチームの大黒柱 中原秀人が今節出場停止で替わって八反田が先発。直近7試合勝ちがなく、アウェイでは今季2勝しかできておらず、残留争いをしている中で勝ち点1でも欲しい状況。

★試合開始~15分

 この試合の立ち上がりはビシッと入る。開始30秒のこの試合初めての鹿児島陣内スローイン。鹿児島は酒本が投げたボールを八反田が受けて、酒本にリターンする。このリターンされたボールに対してアラーノ、ウタカ、佐藤和、曽根田が”連動”してプレッシャーをかける。アラーノのプレッシャーを受けた酒本がさらにバックパス。そのバックパスがズレるとこの4人がそのままプレッシャーをかける場面が見られた。

図1

 前半15分付近までの甲府は鹿児島の陣地でほぼプレー。ボール非保持時は図のような5-2-3で前の3人にボランチの2人もついていくハイプレス態勢。極端に言うと5-0-5だったかもしれない。先制点もそのイケイケモード中の3分のことだった。

 得点シーンはセットプレー(スローイン)からの崩し。甲府の立ち上がりの勢いも相まってウタカへのマークはより厳しくなる。ウタカに4,5人食いつけばそりゃ周りの選手のプレースペースは空き、プレー時間は長くなる。こういう時に仕留められれば楽にゲームを進められる。立ち上がりの15分までは合格点だと思う。15分までは...。

★1人退場~前半終了まで

 15分過ぎから強度がガクッと落ちた。少しゲームが落ち着き始めたのもあり、鹿児島がボールを保持しだす。ウタカのプレスも弱くなったが鹿児島が甲府の1stラインを超えての保持が多くなりプレスに行けなくなってしまった。

両SBが高い位置を取って2-4-4で甲府のシャドーをSHの位置まで下げさせる鹿児島。それでも甲府は奪えば前の3人に当ててそれに伴い両WBが高い位置を取って5トップ化。 そんな中でトランジションで糸口を見出したかった。そしてボールがあっち行ったりこっち行ったりしていたこの時間帯にオミが退場してしまった。
 退場シーンは自陣スローインの対応が甘かったと思う。ウタカが競り合わない、佐藤和も見送ってしまって危険な位置にボールが落ち、慌ててオミが前に出て対応するも危険なスライディングと判定され1発退場。この退場で残り70分を10人で戦うなるのだが、結果は残念な印象があるがよくやった内容だったと思う。この時期でなければ...

図2

 10人になってシステムを4ー4ー1に変更。前半は4-4で組んで耐えしのぐプランだったのだろう。甲府の中盤の4枚はまずは中央を締めて縦に入れさせないことを第一優先。鹿児島は両SBをさらに高く位置取りさせ2-4-4を維持。SBにボールが入ると甲府の中盤4枚はスライドしてズレていく。この展開が続き、慣れない4バックで中盤のスライドが鹿児島のサイドチェンジに徐々についていけなくなる。失点シーンはまさに左から右へのサイドチェンジにスライドが追い付けず、湯澤が前に出て対応するもアラーノと連携不足で崩され失点。最低限の1失点に抑えた前半はクリアーもすべて拾われてしまって鹿児島のターンが続き、後半はどうなるのかという印象だった。

★後半

 後半もメンバーを替えずにスタート。しかし立ち位置が変わっていた。

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 システムを4-3-2に変更。ただ2トップのアラーノとウタカをワイドに配置。前半、嫌な立ち回りをしていた鹿児島両SBを前に出させないことと苦し紛れに掻き出していたクリアーを拾える位置にこの2人を配置。そうすることで鹿児島の攻撃に人数を掛けさせないことと相手のターン続きだったのを2人にボールを渡すことで甲府のターンの時間を長くしようという意図であると思う。また中盤の3人はチームでも仲間のために走れる選手を揃えて、スライドを頑張ってもらう。また、空いている最前線の中央に佐藤和と曽根田のどちらかが入っていって枚数を走って増やす。途中でウタカとアラーノを左右入れ替えてゴールへ向かって突撃をしてもらうことに賭ける後半となった。プラン通り、鹿児島はSBが出て来づらい状況となって前半よりもやられそうな感じはなく、むしろ点が取れてもおかしくない展開となった。

 しかし追加点がなかなか取れず、最後の方は徐々に前の2人も動けなくなってきていたが、伊藤監督は個の質に賭けて時間を引っ張るも難しい展開となり、金園、佐藤洸を投入してウタカ、アラーノとは反対に中央のレーン上でプレーさせパワープレー&カオスで追加点を狙いに行った。しかし1回あった超ビッグチャンスを決めきれず、1-1の痛み分けで試合終了した。

★あとがき

 前半の入り、ファーストプレーで直近の試合とは違うということを感じた。しかしそれも15分頃までで3分に先制したこともあって少し緩んだかもしれない。前半20分で1人退場、しかもここ最近のチーム状況や展開などから抜擢されたオミの退場はこの試合に限らず、残り4試合のプランにも影響が出るかもしれない。後半の10人でのサッカーへの修正はさすがだったと思うが、この時期、現在のチームに置かれてる状況をみるとそんな暢気なことも言ってられない結果となってしまった。残り4試合勝ちしか許されない状況で次節京都戦は前に戻ってしまうのかこれを続けられるか、どのような入りになるのか注目したい。

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