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『がっぷりよつ』2021年 J2 第3節 ヴァンフォーレ甲府×栃木SC

 今節は2021年ホーム開幕戦です。そしてJITリサイクルインクスタジアムに名称が変更になってからの初陣です。相手は栃木SC。過去5試合で3分2敗とこれを苦手と言わずして何と言う。この間、両チームとも選手はガラッと変わっていますが、それでもここまで続くのはやはり相性なのか。。。この相手にどう挑んだのか振り返りたいと思います。


前節の感想文


▶スタメン

【HOME】甲府:5-3-2
 前節から3人入れ替え、栃木仕様にシステムを5-3-2(3-1-4-2)へ変更しました。

【AWAY】栃木:4-4-2
 連敗中ということもあり、前節から4人変更。そのうちゴールキーパーの岡は古巣対決となりました。

▶栃木スタイル

 キックオフは栃木の特徴が垣間見えるスタートとなりました。センターマークに1人、センターサークル付近にゴールキーパー以外の残りの9人を配置して甲府の陣地深くに蹴る(予定だったと思うが風で戻って最終ライン手前に落ちる)と、うおー!と栃木の選手がボールに向かって押し寄せてくる始まり。試合開始から圧をかけてきました。

 最終ラインを高く設定し、ボールとは逆サイドのサイドハーフも真ん中を越えてボールに寄り縦横を圧縮し、ライン間やハーフスペースなどのスペースを狭め、ボールを持っている選手に素早く寄せ、相手に時間とスペースを与えず窒息させるのが栃木のスタイルです。忘れもしない昨年の8月30日ホームでの栃木戦はまさにハイプレスに窒息させられ、その勢いを持ったまま攻め込まれ何もさせてもらえず敗戦。今年も継続しています。

 甲府のボール保持に対しセンターフォワードの矢野貴章がプレスのスイッチを入れます。矢野貴章の1stプレスでどちらかにボールを動かさせるとボールサイドのサイドハーフが前に出て甲府の後方3枚のビルドアップ隊に同数でプレスに来ます。ここの寄せが鍛錬されているので素早く、『あそこが空いてるな、ここにパス出そう』など考えている間に詰められて奪われてカウンターを食らってしまったり、考えている時間を得られないので狙いを持って蹴れず、蹴り出されたボールを回収し攻撃に移行するのです。

▶︎割り切り抜く

 一方の甲府はこの試合では徹底した栃木対策を講じました。

 まず相手を窒息させるハイプレスを受ける前にボールを離すこと。割り切って蹴る。ただ適当に蹴るのではなく狙いをもって蹴っていました。右サイドでよく見られたのは栃木の左サイドバック大島の背後を狙って長いボールを送り、関口や泉澤がスペースへ抜けて行くカタチ。ターゲットとなる選手がいない中でスペースにボールを素早く送り込むことで、相手の高いライン設定の最終ラインを後ろ向きに守備させるとともに、縦横圧縮している栃木を間延びさせ、セカンドボール回収率を上げられました。関口は単騎で1対1を仕掛けられるので最悪でもコーナーキックを取って来れるのは今の甲府の強みです。この試合の1点目のコーナーキックを獲得したのは関口の仕掛けからです。

一方で左サイドはインサイドハーフの野津田や2トップの一角の泉澤が栃木のサイドバックとセンターバックの間をチャンネルランで抜けて背後のスペースを狙うカタチか、泉澤が左サイドに張った状態から野津田がアングルを作って荒木が抜け出すなどローテショーンしながらサイドバックの背後を狙う形が多く見られました。これは普段も見られるカタチです。2点目はこの試合終始、狙っていたサイドバックの背後のスペースへボールを送り込むこと動き出しから生まれました。

▶仲良し3兄弟

 この画像は有田選手のインスタライブのスクショです。怒られたら消しますが、キャンプの空き時間に仲良くゲームしているところです。まあこれは関係ないですが、この試合は山田陸、野津田岳人、中村亮太朗の3人は本当に素晴らしかったです。
 栃木は手数を掛けず長いボールをターゲットとなる選手(この試合は矢野貴章)に当てて前向きにセカンドボールを回収して攻撃を仕掛けてきますが、甲府はこの試合でセカンドボール争いのために中盤をスリーセンターにして挑みました。

 この中盤3人は常に近い位置でプレーしセカンドボールの回収をしていました。近い位置でプレーすることでセカンドボール回収した後もマイボールをすぐに失わない、たとえ1人が球際で負けてしまってもすぐにフォローへ行き、簡単に相手にボールを回収させない意図を感じました。甲府は割り切って徹底して栃木のサイドバックの背後に長いボールを送り込んでいたので、圧縮してセカンドボールを回収したい栃木を間延びさせることができ、甲府のセカンドボール回収率も上げることに繋がりました。この3人の距離間、運動量は試合終盤になっても崩れることなくやり切りました(岳人最後攣ってたけど笑)。

▶まとめ

 この試合は伊藤・渋谷スタイルでここまで築いてきたものを一旦置いといてまで、相手の土俵で戦うのは伊藤監督初めチーム全体でいつも以上に相当な覚悟をもって挑んだはずです。また昨年途中から加入したメンデスの得点もとても喜ばしいです。現時点でチーム唯一の外国籍選手でコミュニケーションを取るのも簡単ではなくストレスなども感じているとは思いますが、1得点したことで喜びを爆発させた姿はとても印象的でした(イエローカードはご愛嬌)。試合後の選手たちSNSに上げている写真を見てもメンデス含め一体感を感じさせる試合となりました。ピッチ内外でチームを盛り上げるベテラン、チームのバランスを取る中堅、毎試合、毎分、毎秒成長している若手が一体となってこのままいい順位をキープしていきたいところです。

★各データまとめ・ハイライト

■試合結果
ヴァンフォーレ甲府 2ー1 栃木SC
■得点
50分 メンデス(甲府)
55分 泉澤 仁(甲府)
68分 森 俊貴(栃木)


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