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『継続と変化』2021年 J2 第1節 ジェフユナイテッド市原・千葉×ヴァンフォーレ甲府

 あけましておめでとうございます。昨年は要所要所のまとめしか書いてなかったので、今年はレビュー的な感想文もまたちょいちょい書いていこうと思います。

▶︎スタメン

【HOME】千葉:4-4-2
 クレーベ、鳥海、為田など主力が引き抜かれることはあったものの、大槻、岩崎、鈴木大輔など代わりになる、それ以上の選手の獲得もでき、他にも尹晶煥体制に合う選手を集めた印象です。また今シーズンから『攻撃的守備』を掲げているということでそれがどう出てくるのかも注目でした。

【AWAY】甲府:3-4-2-1
 泉澤が開幕1週間前のトレーニングマッチで怪我をしてしまい、開幕には間に合いませんでした。代わりに金井がシャドー起用、大卒の関口がウイングバックで先発しました。

▶︎攻撃の狙い

 開幕戦ということもあり(言い訳)、お互いミスが散見される試合となりました。千葉は昨年をベースに今季は『攻撃的守備』をテーマにキャンプで取り組んできたいたようです。ですが、蓋を開けてみれば昨年の千葉と変わらないように感じました。4-4-2の3ラインを形成し、中央をしっかり締めて縦パスを入れさせないゾーンディフェンスです。
一方甲府はメンバーは昨年と変われど、やっていくことは昨年の続きです。相手と相手の間に立ち位置を取り、ボールを動かしていかにチャンスになるエリアにパスを供給できるかです。

この試合は4-4-2対3-4-2-1の噛み合わせになるので中間ポジションで浮くことの出来るシャドーはいかにボールを引き出せるか、中央を締める相手にどうボールを入れていくか、そのままサイドで前進していけるかは攻撃でのポイントになりました。

中央を締める千葉に甲府は外回りでボールを動かし、千葉の中盤を動かします。

甲府に対し千葉はボール方向にスライドし選手間を広げないようにします。

とはいえ千葉も完成度がまだ高くなく、スライドに遅れが生じていました。そこを甲府は突く意図を感じました。多く見られたシーンは小柳から関口(1つ目のコーナーキック後から荒木と左右入れ替え)にボールをつけると、関口は寄せてくる相手から遠い方の足で内側のホールに立ち位置を取る三平へボールを入れていきます。上手く入ればセントラルハーフの野澤英、中村を使って反対サイドで孤立している荒木へ素早く展開して前進していく狙いがあったと思います。そのなかでビックチャンス作ったのが36分の野津田のシュートがポスト直撃した場面です。

 千葉のロングボールを回収した山本が関口にパスを出します。関口は左足で(ボールサイドと)逆のホールで浮いていた野津田へパスを通してキーパーと1対1のシーンを作りました。千葉の左サイドハーフ、岩崎のバックパスをスイッチに関口、三平が続いてプレスを掛けたことで千葉の左センターバック、鈴木が陣形が整わない状態でロングボールを蹴ってしまい、それを甲府が奪ったことで千葉の右サイドバック、米倉は開いていたので正しいポジションに戻れず野津田が空いてしまった格好となりました。
試合開始時、左利きの荒木を右、右利きの関口を左に配置していたのは寄せてくる相手から遠い方の利き足で内側のホールへ入れたい意図があったと思われますが、おそらく関口が左サイドでのやりづらさがあってサイドを交換したのではないかと思われます(勝手な妄想)。

 スライドが速く、ボール付近に相手が集まってきたら素早いサイドチェンジでアイソレーションしている荒木に展開。これが得点に繋がりました。

▶守備の変化

 これまで外国籍選手のセンターフォワードの起用が多かった甲府は彼らに守備を免除してきた(してきてしまった)こともあって、前線からの守備はほぼ皆無で引かざるを得ないチームでした。しかし今年はコロナの影響で合流していないこともあって、前線3人は日本人の組み合わせとなりました。有田、三平、金井(野津田)は献身的に前からプレスを掛け、後ろを引っ張ってくれていました。

 5-2-3の陣形でセンターフォワードの有田は基本的に相手のセントラルハーフのどちらかを消すことから始めます。相手のどちらかのセンターバックがボールを持つとその前のセントラルハーフとの間に有田は立って背中でパスコースを消します。もう一人の千葉のセントラルハーフは対面の甲府のセントラルハーフが見て、三平、金井(野津田)の両シャドーはもう一人のセンターバックとボールサイドのサイドバックを見ます。一つ飛ばして逆サイドのサイドバックにパスが出たらウイングバックが前へ出てけん制するような形でした。

 千葉のセンターバックがゴールキーパーへボールを返したら有田はキーパーへプレッシャーを掛けに行きます。後ろはそれに続いて、三平、金井(野津田)の両シャドーは千葉の両センターバックへ、野澤英、中村は千葉の両セントラルハーフへつき、近い4人の選手を塞ぎに行きます。仮にサイドバックへ出たら荒木、関口の両ウイングバックが前に出てけん制します。

これがハマったのが12分の有田が千葉のゴールキーパーから奪ってシュートしたシーンです。千葉のゴールキーパー、鈴木へのバックパスがズレたこともありましたが、左足で目の前の選手、もしくは右の選手に繋ごうしたと思いますが、塞がっていたこともあり遠くへ飛ばすために右足(利き足)へ持ち替えたことで有田に襲われました。

▶跳ね返すもその後

 甲府の陣形が整った状態での千葉のボール保持は後ろから丁寧に繋ぐというよりは基本的にはサイドバックからのロングボールが多かったです。サイドバックから長いボールを蹴るために繋ぐという印象でした。

千葉は大槻がターゲットとなり放り込むか甲府の3バックの脇(ウイングバックの裏)のスペースに蹴ってサイドハーフや大槻、後半はブワニカが流れてくるというシーンが多かったです。しかし大槻と競り合うのがメンデスでほぼ空中戦は勝っていました。スペースに蹴られたボールの対応もほとんど間違わなかったのではないでしょうか。守備の関しては満点に近い出来だったと思います。メンデスが競り合いで勝ったセカンドボールの回収が今後の課題にはなりそうです。3トップが高い位置で守備をしていますのでシャドーがセカンドボールの回収に関われず、ボールに近いセントラルハーフだけで全部拾うのは難しいように感じます。金井の負傷交代で野津田が入って少し回収率が上がったように感じますが、同時に金井に比べて野津田の守備の位置が低くなったように感じました。(金井は有田の斜め後ろだったが野津田は中村の横の位置から守備を開始していた。)

▶まとめ

 千葉が前情報と違う守備というか昨年と同じようなチームだったこともあって、前からあまり来ない守備だったのでボール保持もこちらの狙いをどう出せるかというところに集中できましたが、栃木や秋田などガンガン前から来るチームにどうプレスを回避するのか、逃げ道も用意されているのかなどはこれからをみないとわからない部分もありました。また山本から相手のディフェンスラインの背後に長いボールが蹴られるも、いずれも反応していない、出遅れているという場面がいくつかありました。千葉のようにコンパクトに保って守備してくるチームに間延びを促すには裏へのランニングは必要になってきます。横幅は広く使えるようになり、素早いサイドチェンジからチャンスを作れているので、深さも作りたい、相手選手間を広げられれば穴も大きくなります。そういう動きで作ったスペースに立ち位置を取ることで優位を活かしゴールを目指し、勝利を目指すわけですから、試合中でもメッセージが込めたパスを出せる山本選手は凄いですね。(語彙力無)


★各データまとめ・ハイライト

■試合結果
ジェフユナイテッド市原・千葉 1ー1 ヴァンフォーレ甲府
フクダ電子アリーナ
■得点
46分 中村亮太朗(甲府)
57分 ブワニカ 啓太(千葉)



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