江崎式あたりまえのタスクプランニング実践記【注意力散漫・理想・完璧主義】
江崎式あたりまえのタスクプランニング
これを実践してみた。
手順を以下1.~4.にざっくり示す。
半年分くらいの予定をざっくり決める。
月初にその月の予定を決める。
毎週月曜の朝に週の予定を決める。
毎日朝一でその日の予定を決める。
江崎先生によれば、この方法により,目標を見失わずに今自分がすべきことに集中できる、という。
本当なのだろうか。実践してみた。
背景
筆者の身分
博士課程2年目の学生である。ふらふらしている。
本企画の動機
私は注意力散漫なので、意識の方向性が発散して困ることが多い。現に今、やるべきことを放っぽりだして、この記事を書いている。
そんな私だが、ある日、「自覚的に、意識に方向性を与えると、活力が湧いてくる」という気づきを得た。「自覚的に」というところがポイントで、私の安定状態はおそらく、常に意識の方向が発散する状態にある。
そして、「目標を明確にして計画をたてれば、もっと生きやすくなるのではないか」というあたりまえの気づきを得た。発散状態においても大域的な目標を見失わずに行動できるようになることを期待して、江崎先生のあたりまえのタスクプランニングを試してみようと考えたのである。
筆者の問題点
厄介なことに、私は意識の発散傾向だけでなく、完璧主義かつ理想主義的気質を持つ。この気質は、理想を追い求めるがあまり、完遂できない量の予定を詰め込んでしまう、という、プランニングの健全性を阻害する行動を引き起こしてしまう。
これに対応するためには、次に示す追加ルールが必要であると考えた。
追加ルール
「予定を決める際は、これまでの「最も怠惰な時の私」を参照する。」このルールを追加して、実践してみよう。
実践してみた
1.半年分の予定を決めてみた
首が回らなくならないように注意して、今(2024年9月)から半年間、すなわち2025年3月頃までの予定を決める。やりたいのは以下のこと。
査読論文1編(執筆中)
査読論文1編(未執筆、ネタだけある)
国際学会の論文(執筆中)
就活(うーん、やりたくないし、やってみたくもある)
提案モデルの実験
うーむ。首が回らなくなるパターンかも。就活はやれる範囲でのんびりやるとしよう(逃避)。未執筆のネタだけある論文は、他がひと段落してから考えればいいかも。とすると、
査読論文1編(執筆中)(①)
国際学会の論文(執筆中)(②)
提案モデルの実験(③)
というところか。ひとまずこれを半年分の予定として決定し、次に進もう。
2.月の予定を決めてみた
①と②はお互いに関連した内容であり、②の締切は11月初旬である。よって、今月は②の初稿を完成させることを目標にしよう。①は、②の内容にいくつかの検討を加えたものになる予定だが、そのために必要な勉強を並行して進める必要がある。③の実験計画は、①②を進めることによって見えてくるものなので、緊急度は低い。まとめると9月の予定は次の2つである。
国際学会の論文(執筆中)の初稿を完成させて指導教官に渡す
(月予定A)査読論文1編(執筆中)の追加検討のために必要な文献を読む
(月予定B)
かなり余裕のありそうなプランだが(歪んだ自己認識の可能性大)、「『最も怠惰な時の私』を参照する」という追加ルールを遵守した結果である。これでいこう。
3.週の予定を決めてみた
今は9月2日(月)、すなわち9月の初週である。来週は雑務等で忙しく、あまり時間が取れない。時間が取れるのは、第1週(今週)、第3週、第4週である。今月確保できるのは3週間分の時間であるといえる。
月予定Aについて。論文は全6章を予定している。3週間で割って、1週間で2章分ずつ進めよう。使いたい図は既に貼り付けてあるので、それらをもとに英文を書いていくという作業内容である。ただし、図は仮のもので、多少の調整が必要である(これが面倒)。
月予定Bについて。追加検討の内容を決定するには、とある文献を30ページほど読めばいいと踏んでいる。検討の適用範囲を定めるために読むので、内容の全てを網羅的に吟味するというよりは、必要な部分だけを拾っていくという感じなので。すぐ終わると思っている。
以上を踏まえて、今週(9月初週)の予定は次のように設定しよう。
全6章のうち2,3章の執筆(ア)
文献にひと通り目を通して、重要な部分をピックアップする(イ)
4.その日の予定を決めてみた
あとは1日のはじめにその日の予定を決めればよ良い。ここでも、「『最も怠惰な時の私』を参照する」という追加ルールを忘れてはいけない。朝起きて、私が主体となって設定したわけではない予定(以降、外的予定または外的タスク)を確認しつつ、最も怠惰なときの自分でもこなせるタスク量に抑えることを意識して、(ア)(イ)をこなすための予定をたてる。
以下は、9月2日(月)と9月4日(水)の例である。
9月2日(月)
朝起きてグーグルカレンダーを確認する。今日は外的予定がない。(ア)を進めよう。2章を書き切ってしまおう。これを今日の予定としよう。え、それだけだって? うん、それだけ。最も怠惰な時の私にとっては、たぶんこれが限界だ。実際のところはそれだけではなく、来週、日本語が自由に使えない留学生の方の実験が予定されていて、そのアシスタントを任されているので、タスクが色々舞い込んでくる可能性が高いのだ。
9月4日(水)
朝起きてグーグルカレンダーを確認する。今日は午前中、実験場職員さんと来週の実験に関する打ち合わせがある。たぶん1時間以内で終わるけど、午前中の予定はそれだけにしよう。なぜなら怠惰だから。加えて、実験期間中に実験場に駐在できる人員のシフト調整をしなければならないという外的タスクもある。午後イチからの2時間(怠惰考慮時間)をこれに当てよう。その後、3時間(怠惰考慮時間)で(ア)の3章を書き切ろう。
という感じである。実際、2,3章は書き切ることができ、9月5日(木)には指導教員に共有することができた。(イ)については、9月5日(木)〜9月7日(土)で終わらせることができた。土曜を使ってしまったのは不本意だが、及第点だろう。
感想
9月最初の週を終えて、9月8日(日)にこの感想を書いている。
感動している。注意力散漫、理想主義者、完璧主義者の私でも、やると決めたタスクを、目標を見失わずに、ちゃんと予定通りに終わらせることができている。冗談じゃなく、人生で初めてかも。私の場合は追加ルールが功を奏した感じがあるが、半年の予定から1日の予定を逆算していく戦略の効果は大きかったと感じている。
すごいと感じた点は以下の2点である。
外的予定・外的タスクに振り回されずに済んだ点である。具体的には、9月2日と9月4日の例で示した実験アシスタントのタスクについてである。これまでの私だったら、そのタスクの遂行中に、本筋の目標を脳にホールドしておくことができなくなり、自分のいる場所を見失ってしまっていただろう。本筋とそれ以外をしっかり区別しながらタスクに取り組むことができるようになり、精神が安定するようになった。
月の初め、週の初め、1日の始まりといった、スタート時点で予定を決める点が重要であると感じた。1日の終わりに予定を考えてしまうと、脳が疲れているということもあってか、精神的負荷が大きい。これまでの自分を振り返るとそうだった。1日の終わりには翌日の外的予定・タスクを確認するくらいで良く、あとは翌日に起床した時点の自分に全てを任せればいいのである。「終わり」に予定を考えるよりも、遥かに気が楽である。
おわりに
さて、私はこの記事の冒頭あたりで、以下のような記述をしていた。
これは本記事の執筆開始時点での記述である。やるべきことを放っぽりだしているという負の感情が見てとれるが、今この段落を書いている私と、明らかに心境が違う。今の私は、目標を見失わずにタスクをこなすことができているので、「やることはちゃんとやって、この記事を趣味で書いている」という安定した精神状態になっている。
良いことづくしである。江崎先生、ありがとう。
以上が、江崎式あたりまえのタスクプランニング実践記である。「目標を見失わずに今自分がすべきことに集中できる」というのは本当だった。私の場合は、自分のための簡単な「追加ルール」を設けたことと、体験をnoteに記録しながら実践していたということが成功に寄与する部分は大きかったと思う。読者の皆様も、自分にあった追加ルールを設けて、文字にしながらこのタスクプランニングを実践してみてはいかがでしょうか。
−−
はやく知りたかった(笑)。今知れてよかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?