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養生の道は氣を「調える」という動詞にあり

『養生訓』。貝原益軒が江戸時代中期に書いた日本ではじめての健康医学の本だ。社会が滞ると世間は内向きになる気がする。当時も今も健康ブーム。「健康」という言葉はなかったが、健康長寿の生き方を「養生」といっていた。百病はみな気から起こる。だから、氣を減らさないこと、氣を滞らせないこと。『養生訓』ではこの2点を特に注意している。養生の道は氣を調えること。整えるではなく調える。氣を和らげ平らにすることは、整理整頓よりも調律調和なのだ。氣は息とも考えられていた。そして現代でも、呼吸を調えることで、気持ちを和らげ平らにしている。「調える」という動詞。さて、「調える」のは氣や息だけだろうか。音楽にも調律がある。心地のいいメロディやリズム、そしてテンポ。すべてに共通しているのは線のような連続性。連続した線は生の証。死とは断線を意味しているのかもしれない。断絶の時代に断線しないよう、氣合いを入れておく。

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