ニンジャスレイヤー第一部「ネオサイタマ炎上」のアツさ

1.説明

「ニンジャスレイヤー」とは

今から紹介する「ニンジャスレイヤー」は「Twitter上で連載している小説」だ。ジャンルについては「サイバーパンクニンジャ小説」を自称している。

「ニンジャが出て殺す!」アニメ化や書籍化のさいによくキャッチフレーズとして使われる単語がこれだ。主人公の「ニンジャスレイヤー」は血のように赤黒い「ニンジャ装束」を纏って、自身と同じ「ニンジャ」を殺して回る。

「ニンジャ」とは

「ニンジャ」とは超人的な力を持ち、圧倒的な暴力を振るったり、あるいは鋭い眼光で威圧したりして社会を裏から操る。この世界において社会は暗黒巨大企業に支配されており、それをさらに暴力で支配するのが「ニンジャ」だ。

ニンジャは人の形をしてはいるものの、相対した人間はほとんどの場合、存在の違いを思い知らされることになる。

「ハッハー!ハッハァー!」体格のいい黒人ヤクザは威圧的に棍棒を振り回した。スミスが肩をすくめ、「アンドレは元野球選手だ。まあ見てやってくれよ」ニヤニヤと笑った。アーソンは眉一つ動かさない。アンドレは素振りを繰り返した。アーソンの顔のすぐ横で棍棒をピタリと止める。風圧!

「アーソン」は「ニンジャ」だ。

”「ハッハァー!ハッハァー!」また素振りだ。アンドレは棍棒をアーソンの顔の横「イヤーッ!」「アバーッ!?」黒人ヤクザ達の笑いが凍りついた。「アンドレ?」スミスが呟いた。……アンドレの頭はどこへ行った?

「……シューッ」アーソンは息を吐き出した。その右脚は斜め上にまっすぐ伸ばされ、静止している。彼は片足立ちの姿勢のまま、ぴくりとも動かず、スミスを睨みつけた。「え?」スミスが瞬きした。首無しのアンドレの手から棍棒が落ちた。そしてシャンパンめいて鮮血が噴き出し、大の字に倒れた” マシン・オブ・ヴェンジンス#1 より引用

「アンドレ」は体格のいい黒人で、ヤクザだった。しかし、ニンジャのひと蹴りは彼の首をいともたやすく吹き飛ばした。暴力で人々を支配する者。その更に上に君臨するのがニンジャだ。

「ニンジャスレイヤー(主人公)」とは

血のように赤黒いニンジャ装束を身にまとっているとされ、ネオサイタマで日常的に巻き起こるニンジャによる殺人、扇動、暴力、暗殺の現場に現れ、実行犯であるニンジャに対してカラテによる勝負を挑む。それも一度や二度ではなく作中時間にて2年以上もの間容赦のない殺人を繰り返すのがこの男だ。

2.「ネオサイタマ炎上」の好きなところ

一貫性

私が注目しているのはこの主人公である「ニンジャスレイヤー」の行動原理とその一貫性だ。ニンジャスレイヤーが戦いを挑むのはニンジャの組織であり、それは彼が暮らす社会そのものに等しい。彼の強い意志の寄る辺はすでに形を失っており、その殺忍意識の源泉となっているのはただ一つ、彼の内にある「記憶」である。

ニンジャとの闘いは毎回命の取り合いである。高いカラテを持つものを相手にした時は深い傷を負うことや、時には力量が足りない状態に陥る。そういった危険状況につき彼に憑依した謎の存在「ナラク・ニンジャ」は彼の記憶を再生し、憎悪や怒りといった感情を引き出し、炉に薪を焼べる如くして更なるニンジャを殺すためのカラテを引き出す。

記憶、感情、その不安定さ、不確かさ。ニンジャスレイヤーへの憧れ、ヒーロー性。

彼はカッコいい。カッコつけた言動や行動は第一部「ネオサイタマ炎上」の後の話となる第二部、第三部でも全く行わないと言ってもいい。でも、滅茶苦茶カッコいい。

(本題に向かうにつれ、個人的な体験に話が傾きます。)

私はわりと気分が不安定な方で、怒ったり泣いたりしやすい。しかし怒りが長続きすることはあまりない。何故か。それは人間だからだ。腹を立てていたり気に食わないことがあっても食事をして腹を満たせば自律神経の働きでそれは薄れるし、穏やかに睡眠を摂れば人体の働きで「通常」の状態に戻る。「異常」は続かない。

私は漫画や小説、ゲームのシナリオに侵されたフィクション脳でもあり、自分の人生に意義あれかし熱や夢あれかしと考えている。だが、実際、具体的な夢や実現目標を持って生活することは難しい。少なくとも私にはできていない。憧れや自分の意義に反して、自堕落な進路、自堕落な生活に日々を費やしている。

この部において彼は数々の困難に直面する。ほぼ毎話傷だらけになるし、すんでのところで死にそうになることもある。戦いの日々を続けることが難しくなることもあるし、自分のせいで身を危険に晒すこととなった人を見て自責することもある。しかし彼がニンジャとなったその日から毎日が復讐のための日々であり、彼が日常らしい日常を過ごすことは、無い。休息を考えることや、享楽に耽ることを考えすら、しない。その一貫性のある怒りと行動原理が休まることなく総三十エピソードほどの第一部を駆け抜けるのだ。

読むにあたって

連載されたぶんは有志がTogetterにてまとめているほか、これまた有志による「ニンジャスレイヤーwiki」があるので連載時系列順、考察にもとづく作中時系列順にまとめたものそれぞれを一覧でき、またTogetterへのリンクもある。更にはほとんどのエピソードに有志によるあらすじが書かれており、非常によみやすい。間違いなく面白いので読んでほしい。

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