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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様
816.ニンゲン

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 しばらく眺めていたナッキは誰に言うでもなく呟きを漏らす。

「ニンゲンの、ねぐら、か……」

「塒、家って事? 地上で暮らすなんてヘンテコだね」

「だね、おや、サニーあそこを見てご覧よ、二足歩行で巨大な体、きっとあれがニンゲンだね」

 ナッキに言われたサニーはそちらを見て、少なくない驚きを込めた声で返す。

「あ、あれがニンゲン、か…… ナッキよりは小さいけどやっぱり大きいよね…… ヘロンたち鳥族みたいに全身が毛で覆われているんだね…… 黒いの赤いの、それに白いの…… 毛の色の違いは何だろう? 種族とかの違いかなぁ」

 ナッキは頷きながら答える。

「多分そうじゃないかな、ほら、あそこの黒い毛の種族が集まっている横に、二回り位小さいニンゲンがいるでしょ? アレは子供なんじゃないかな? 毛も生え揃っていないみたいでまだ頭の先と顔の一部分にしか無いでしょ? きっとそうだよ」

「なるほどねぇ、流石はナッキだねぇ、どうするの? あの黒いニンゲンに話し掛けてみるの?」

 ナッキはしば瞑目めいもくして考えた後、決心したのか力強く答える。

「うん、そうしよう! 不用意に子供に近付いたら凶暴になるかも知れないからね、親の方に話しかけて様子を見るよ! サニーとメダカの皆は僕の後ろでニコニコしていてくれれば良いからね! 良しっ! 行くぞっ!」

 宣言したナッキは自分の後ろを泳ぐサニーとメダカ達を水中に潜行せんこうさせたまま、自分自身はワザと目立つ様に、水面みなもから体の上半分程を露出させて、ニンゲンの成体であろう、黒い毛髪に包まれた数匹に向けて泳ぎ寄りながらいつも以上に意識した丁寧な言葉を発する。

「ごきげんよう、ニンゲンの皆さん! 始めまして、ですね! 僕はギンブナのナッキと言いまして、この湖の下流にある、『美しヶ池』で『メダカの王様』を務めさせて頂いているんですけどぉ? 実はニンゲンの皆様にお願いと言うか頼みが有ってまかり越したんですよぉ! あの、その、えっとぉ、どなたとお話すれば良いんですかねぇ? てへへぇー」

 なるほど、いつの間にかこんな交渉術まで身に着けていたとは…… ナッキ、侮れないフナである。

「? ガウッ?」

「がう? がう、ですか? ええっとぉ、それはぁ…… あっ! そうか! てへへ、旦那の固有名詞なんですよね? なるほどっ! 良いお名前ですねぇ! がう様ですかぁ! では、貴方様とお話させて貰う事と致しますねぇ! 実はですねぇ、私たちの仲間がいささかピンチに陥ってしまっていてですねぇー」

「ガウ? ガウガウガウ?」

「でへへへ、そうなんでげすよぉ! 一つ力を貸して欲しい、そう思ったんでげすよぉ! コレこの通りっ! どうか助けておくんなましっ!」

「あの…… 魚さん、ちょっと良いかな?」

 一所懸命にプライドもかなぐり捨てて、仲間の為に頭を下げ続けていたナッキに対して、少し離れた所にいたニンゲンの幼体、所謂いわゆる、子供が急に話し掛けて来たのである。


お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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