【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1119.工夫
翌日、険しい山塊を踏破する一行の空気はやけに楽しげな物であった。
それもその筈である。
一行の中で先頭を歩くテューポーン以外の三者と一柱には過ぎし日の思い出が詰まり捲った場所、それに他ならなかったのだから。
峻険な岩場に足を掛けながら笑顔のアスタロトが言う。
『おお、そうだった! おいレイブ、この岩は動くぞ? 気を付けろよー!』
答えるレイブも同じ様な笑顔である。
「ああ、そこ動きますよね? うふふ、懐かしいですね♪」
『本当だなぁ』
こんな感じである。
険しい崖を登り切り、尾根の端に出た一行はトボトボと東を目指して進んだ。
幸い天気も良く、ついつい口をついて鼻歌なんかが出てしまいそうなお昼前、アスタロトを背に最後尾を歩いていたペトラが素っ頓狂な声を発する。
『あっ! あああぁぁぁあっ!』
背に揺られていたアスタロトが驚いて聞き返す。
『ど、どうしたのだっ? ペトラ!』
大きな声に驚いて歩みを止めたテューポーンとレイブ、ギレスラがキョトンとした表情を浮かべる中、フルダークネスの黒猪は戦慄きに因る震えを押さえられない様子で答える。
『吸えた…… それに充填出来た…… と言うか、出し入れ自由自在っ! うわぁっ! 目から鱗ぉっ! ほらほらぁっ、入れて出して入れて出して、ぬぷぬぷズコズコ、自由自在、ううんっ、万事如意ですぅ!』
『ほっ? マジでか!』
言い方は何だが、純真なペトラの言葉である。
R18とかノクターン行きの心配は万に一つも有り得ない事だろう。
何か変に聞こえたとしたら、億が一そうだとしたら、読んでいる人間の心が汚れ切っているのかもしれない…… きっとそうだ(断言)
毎晩無駄な努力(出来もしない微回復詠唱)を繰り返していたレイブは驚きに目を剥いて固まってしまい、代わりにいち早く飽きたお蔭で鼻先のバランス感覚だけが変に鋭敏になったギレスラがペトラに声を掛ける。
『むう、我より先んじるとは…… やるなペトラよ! んでどうやったのだ? 教えてみるが良い! ほらほらっ、早く早くぅっ! 我もやりたいぞっ! やらせてやらせてぇっ! 辛抱ならんっ!』
ノクターン行きではないっ! 断じてっ! それだけは確りお伝えして置きたい!
純真無垢、エロの欠片も感じさせないギレスラ君に、こちらも無垢な少女猪ペトラちゃんが答える。
『ええっとね、昨夜さっ、『微回復』で少しだけ充填出来た感じがするって言ったでしょ! だから今日歩きながら、山登りしながら色々試していたんだけどねっ! 『回復』や『上回復』はてんで駄目、『全回復』に至っては即座に弾き返されちゃっていてね、んで気が付いたのよ』
ギレスラが神妙な顔持ちで先を促す。
『気が付いた? 何にだ?』
ペトラはいつに無くはっきりとしたエヘンを顔面に浮かべて言う。
『だからね♪ 効果が少ないスキルだったらこの石、魔石に干渉できるんじゃないかって事よっ! それで作る事にしたんだ、新しいスキルをね♪』
このビックリ発言に最初に反応したのはレイブ、続いてギレスラ、最後に言葉を発したのはテューポーンだ。
「新しいスキル? そんなの可能なの?」
『ふむふむ…… 興味深い話じゃないか』
『へー凄いじゃないペトラちゃん、我が君謹製の謎、その答えに肉薄してるじゃないのぉ!』
『えへへ』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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