見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1196.代替案


 服装を整えたレイブはもう一度グフトマに対して深々と頭を下げる。

「本当に申し訳ありませんでした、太師匠」

「もう良いよ、過ぎた事じゃ無いか、んでも困ったな、ゴブリンの餌をどうするか」

「魔石じゃ駄目なんです?」

 レイブの疑問の声に答えるグフトマの顔は難しいままである。

「いやー、使用済みの魔石なら大量に有るんだけどな…… あれらを餌に出来る位まで再充填するには北の出口、それこそハタンガに放置して二、三日置いておかなきゃならんのだよ…… 参ったな」

 この言葉を聞いたレイブは、俯いていた顔をバッと音がしそうな勢いで上げ、それを見たグフトマが首を傾げながら言葉を続ける。

「どうしたレイブ、言っておくが今からハタンガに運んでも今日明日の食事には間に合わないからな? それに最近のハタンガはヤバい位魔力の密度が濃くて危険なんだ…… まあ、ゴブリン達には一食我慢して貰ってその間に草を集めてくるのが現実的だな」

「いえ、太師匠! 魔石に魔力を充填するんだったらなんとかなりますよ! 俺の下僕、じゃなかったウチの豚とトカゲ、若しかしたらバッタもイケるかもしれません!」

「ペトラとギレスラ、それにテューポーンの事か?」

「そうも言います」

 そうとしか言わないと思うが……
 兎に角、レイブは興奮した様子で思い付きを説明したのであった。
 
「んじゃ、お前達の中にいた神様、アスタロトさんが課したのが空魔石の充填、それだったと?」

「ですです!」

「んでお前、レイブ以外はその課題をクリアできて、アドヴァイスを送っていたのがバッタのテューポーンさんだと言うのか?」

「その通り! アイツ等に充填させれば良いでしょ? 太師匠!」

「なるほどな…… なあレイブ」

「なんでしょ?」

「お前、駄目じゃん」

「…………はい、グスッ」

 笑ったり涙ぐんだり感情の起伏が普段より激しい理由は睡眠不足に因る物だろうか?
 素直に白状しなかった弊害はこんな所にも及ぶのだ、素直って大切だ。

 メソメソしているレイブを他所よそに、グフトマはギレスラとペトラ、テューポーンに現状を説明し、魔石の充填を快諾した三者の指示に従って、ホブゴブリン達と忙しく動き始めたのである。

『はいコレ、あがったわよ』

「ご苦労様です、ペトラ先生」

『こっちにも空魔石をくれ』

「ギレスラ先生、只今っ! ほら、空魔石だよ!」

「へ、へいっ!」

『ギギッ!』

「おいっ! 早くテューポーン大先生の周りの魔石を運ばないかっ! 手が止まってるぞ、全くぅっ!」

「へ、へい…… すいやせん、でへへ」

 すっかり三下奴さんしたやっこ、下働きに定着したレイブに更なる衝撃が襲った。
 なんと、魔石充填の様子を見ていたホブゴブリン達が見よう見真似で模倣を試みた結果、全員が成功を果たしてしまったのである。
 当然、グフトマ自身も器用に充填をはじめ、その出来高は主戦力のテューポーンに迫る勢いであった。

 今や人型の同僚すら失ってしまったレイブはラタトスク達に混ざって、魔石の出し入れと整理整頓に汗を流したのである。
 いつの間に聞き出したものか、一回の必要量毎に分けられた魔石を綺麗に並べ、今後回収されるであろう空魔石置き場まで充填場所の直近に設けたりしている。
 すぐ脇には空魔石を清浄化する為だと思われる水桶も積み上げられ、そこそこ使い易そうではある。
 流石は学院の物流部門を一手に請け負っていただけの事はある。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

Copyright(C)2019-KEY-STU

この記事が参加している募集

スキしてみて

励みになります (*๓´╰╯`๓)♡