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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1173.饗応


 ホブゴブリンの一人が言う。

「こんなにちゃんとした食事は久しぶりでしたよ! これなら二、三日飯抜きでも行けますね」

 レイブは思った。

――――二、三日、か…… その間に新しい草と入れ替えなきゃならんな……

 笑顔を浮かべたグフトマが続く。

「久々の肉と果実で喰い過ぎちまったかなぁ、サラダ代わりに草でもつまむかなぁ」

 レイブ即答。

「く、草っ! ば、馬鹿言っちゃいかんよ、じゃなくてぇ、えっとぉ、あっ、干し野菜だったら持ってるんでそっち、そっちを食べてくださいよ! ね、ねっ? 山菜とかもあるんでぇ~」

「いやご馳走になってばかりと言う訳にもいかんし、草だったら、ほれ、そこに文字通り山になって――――」

「いえいえいえいえ、いいえぇっ! それじゃレイブの男が立ちません! どうあってもこちらで、こちらでお願い致しますっ! 後生ですから~、こちらで~」

「お、おう、まあ、そこまで言うなら…… そうだな、折角だしご馳走になるかっ!」

「ははあー、ありがたき幸せー」

 大仰に礼を述べたレイブは再び心中で唸る。

――――悠長な事は言ってられんな、これは…… 取り敢えず今日中に今ある草だけでも捨てちまわないと! 良しっ! あれを使うか!

 何やら心に決めた後は、作り上げた満面の笑顔と作為的な揉み手でグフトマににじり寄り、別に取り出した水袋を見せながら周囲に語り掛けるレイブである。

「皆さん! 本日は誤解からとは言え大変なご迷惑をお掛けしましたー! お詫びと言っては何ですがコレ、俺手製の果実水なんですがね♪ お口汚しですが是非味わってくださいよー!」

 おお、あれか…… 確か自然発酵で結構なアルコール度数を誇る果実水だったな……
 なるほど、酔い潰してその間に草、証拠を隠滅する気らしい。
 素直に謝れば良いものをあれこれ企む辺りもレイブらしいと言えば言えなくは無い、清々しい。

 謝れば恐らく快く許してくれるだろうグフトマは孫弟子の好意を疑いもしなかった。
 笑顔を浮かべて受け取った水袋を口にして、舌鼓を打つと横に並んだホブゴブリンに回してご機嫌な様子でレイブに言う。

「イチジクか? イチジクだよな! 懐かしいな、鍾乳窟のねぐらで冬篭りする頃、初夏に仕込んでおいたイチジクが良い感じで醸されるんだよな、うん、懐かしい味だ」

 ずきっ!

「この果実水を飲めば作った者がどう言うニンゲンか判る! すっきりとして果実本来の良さを生かした素直な味わいっ! はははっ、戦い方は兎も角、我が孫弟子レイブは素直で正直なニンゲンな様だ、愉快愉快、はははは!」

 ずきずきっ!

 グフトマの言葉に心中を抉られる痛みに耐え切れなかったのだろう。
 素直で正直なレイブは新たな水袋を幾つも取り出して大きな声で告げる。

「さ、さあさあ! まだまだ色んな種類がありますよ! 今日はとことんやりましょー! 酔い潰れても大丈夫、このレイブにお任せあれ! ささっ、さささっ! グイッとどうぞ、太師匠たいししょう!」

 本性は兎も角、自分の過失や不首尾を認める事が出来ない、認めてしまったら全て終わる! それ位に自意識過剰なレイブであった…… 残念至極。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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