【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第二部 五章 続メダカの王様
843.父の決断
「で、でもさ残る事を決めた事がイコール弱さって訳じゃないんじゃない? 悩んだ末の決断だったんでしょ? 今でも自分を責めちゃう位にはさ! 気にする事無いと思うけどぉ…… あ、それとナッキ、子供は兎も角、奥さんだったら今すぐにでも出来るよ、エヘヘ♪」
「今すぐ? ふーん…… サニーの言葉は時々訳が判らない事も多いんだけどさ、僕も思うよナガチカ、もっと色々当時の状況を聞かないと判断できないよ! これから色々話してくれるでしょ? それを聞いてからで良い? 僕なりの意見を言わせて貰うからさっ! L8Rでよろしく!」
L8R? 確か令和の頃の『後でね』のネットスラングだった筈だが…… フナの癖にどうして知っているんだこいつ? ここまでの観察では当時を知るアメリカ人との接点は無かった筈だが…… はてな?
悩んでいると逞しく賢く、完全な存在である父、聖ナガチカが哀れで愚かなフナ二匹にお言葉をお届けになられる、神々しい。
「ああ、ご心配無く、先程吐露したのはあくまでもかつての葛藤の事ですから! あの時の選択は正しかった、まあ多少無理やりな所は否めませんが、今ではそう思っていますのでご心配なされず! それに今日、昨日お会いした時からたったの一日、ほんの僅かな時間でアナタ方が進化した、その姿をこの目にしましたし、それに…… 『存在の絆』の消失…… ナッキ殿が仰った通り、恐らくカーリー神がお隠れになったのだと思います…… あの最強の一角、この星そのものと言えるレグバ、ラダの精霊や方位神、メット・カフーと名を連ねる時空神、あの御方が消え去るとは思いもしなかった事ですが…… 結果は原因に端を発し、因は即ち果を以って答えとします…… 彼の女神は身罷った、この世を去ったのでしょう…… あの方は私の妻と息子を守護する、そう仰って二人の従者、オンドレとバックルを連れて旅立たれたのです…… 私はナッキさんの言葉を聞いて以来、考え続けていたんですよ、今は守護者を失った妻、美雪と息子である、聖邪がどれ程不安な日々を過ごしているのだろうか、そんな事をね……」
「う、うん……」
「な、ナガチカさん……」
ふっ、魚類は言葉を失っているがそれも無理ないだろう…… 私と酷似、いいやほぼ同一人物であるお父様、ナガチカの覚悟を理解出来なくても仕方が無いのだ…… だってフナだしね。
父は馬鹿みたいに黙り込む二匹の下等生物に向けて、親切にも話してくれる、口が曲がらなければ良いのだが……
「ですから私は決めたんですよ! 旅立つ事をですっ! 『美しヶ池』の皆さんのお蔭ですよ、取り分け貴方達、ナッキ殿とサニー殿のお蔭で決断出来たんですっ!」
聞いた?
どう? ウチのお父ちゃん? 格好良くね?
カーリーの守護を失ってしまった私と母の窮状を察した瞬間、リーダーとしてアレほどの葛藤を抱えていたにも拘らず、即座に旅立ちを決意した、そう、決めてしまえる決断力ですよ?
もう、アレだな…… リーダーとしての資質とか云々じゃなくてね、人間力? 弱さと強さの混在する中で、守りたい一握りの心に向き合う真摯さとかってさっ、ヒトとしての完成形なんじゃないかとすら思えるよね?
似てるわぁー、激似ぃー、私って子供の筈だよね? 若しかしてクローンとかじゃないのかなぁ?
そう疑ってしまう位生き写しの我が父なのである、ムフフゥ~。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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