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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1432.とっておき


 コレムボラダメージに打ちのめされたレイブ以外の主要メンバーは深刻そうな表情で意見を交わす。
 パダンパの素直な言葉が切欠きっかけだった。

『レイブ叔父さんのお蔭で事無きを得ましたがぁ…… 幾らなんでもちょっと早過ぎませんか? モンスターの復活までが、こんなのおかしいでしょ?』

 この言葉に答えるのは若い内に冒険の経験を積んだダソス・ダロスだ。

『いや、一概におかしいとは言えないぞ、モンスターって奴は我々の想像を越えた存在だからな、復活する度に成長したり変態する事も無いとは言えん』

『えーっ!』

 まだまだ若造の部類に入るパダンパには理解し難かったのかもしれない。
 大声で発せられた不満気な叫びを嘲笑う様に事態は急激に動く。

『えっ? も、もう復活すんのぉっ?』

 ペトラの声が表わした通り、周辺に散らばったバイコーンの死骸、バラバラに巻き散らかされた黒い粉塵や瓦礫の中から、ムクムクと起き上がるのは馬っぽく無表情なモンスターの鼻先×無数の姿であった。
 ざっくり見ただけでもこれまでより強靱で逞しく、何より激オコプンプン状態なのが理解できる鼻息の荒さは見つめるメンバーに一層の覚悟と絶望感を与える。

 一体どうすれば良いのか?
 思いつつ立ち竦むメンバーに掛けられた声は、こんな時、無茶苦茶も含めていつも事態を打破してきたレイブの力強い物である。

「ギレスラっ! 牢獄プリズンだっ! ペトラは魅了酒ミードの準備を急げっ! 他の皆は仲間達を迎賓館の近くに避難させるんだっ! ぐずぐずすんなよっ! 間に合わなくなるぞ、急げっ!」

 想像の何倍も早かったバイコーン、漆黒の魔物達の復活の兆し、その事態に軽いパニックを起こし掛けていた主要メンバーは否応なくこの声に従って即座に動き始めた。
 一方、頼もしさマックスの声を投げ掛けた本人、レイブと言えば地面に頭を突っ伏したままで自分がリバースしたばかりの吐瀉物に顔を埋めて手足をバタつかせている、イマイチしまらない有様である……

 挙動の怪しさは置いておくとしてだ、スリーマンセルのリーダーとして発した指示は的確だったのか?     
 そちらの方が気になる所である。

 牢獄プリズン魅了酒ミードと言えば邪龍メルルメノクを救おうとした際に、無鉄砲なこいつらが暴れまわる相手を無力化しようとしたスキルだった筈である。
 あの時は、致死量のミードは使い物にならなかった、と言うより殺してどうする! 的な場面だったから思い止まったのだ。

 今はゾンビ的なバイコーン相手だ、思う存分ブッパして良い場面だからな…… うむ、こっちは判るぞ。
 『クルクル虫アタック』と同様、とっておきをお見舞いするって事なのだろう、なるほどだ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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