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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1408.そうだったね


 シュカーラの言い口からは、『竜王の里』がガチガチでゴリゴリな戦力を保持している事が容易に窺えた。

 相手がいづれの勢力であれ、竜王軍のワンサイドゲームだと信じて疑っていないシュカーラに向けて、肩を竦め両手を広げて説明を引き継ぐのはレイブである。

「それならハタンガの魔力集積地に向かうんだそうだぞ、そんなの玉砕覚悟の自殺同然だろ? 倒すべき相手だっていないんだし、得られる成果だって皆無なんだぜ…… だから、俺達が思い直す様に竜王を説得に来たって訳なんだよ」

 ザワザワ

 もっともに聞こえるレイブの言葉で、獣人達のザワメキが起こったが、その大勢は竜王の妄挙をいぶかしむ声と、それを嗜めるドラゴンの知恵と分別を支持する声であった。
 普段行き来が無さそうにも拘らず、ドラゴンに対する信用度が如何に高いかが察せられた。

 喧騒が収まるのを待たずにレイブの言葉は続く。

「鬼王ズィナミとハタンガの守護獣、キャス・パリーグ直々の命令だからな、そっちはちゃんとやらなければならないんだが…… なに、然程時間は掛からないだろうからさっ、ちゃちゃっと終わらせてくるからそれから今後の事を考えようぜ」

 ギレスラとペトラもこの意見に同意らしい。

『竜の鱗を削って治療してやれば目も覚めるであろう、誰が見ても意味など無い軽挙だからな』

『そうね、その後の養生用に強壮剤のアキザーキラーもたっぷり持って来ているし、問題さえ消えれば落ち着いて考え直すでしょうね』

 キャス・パダンパは首を傾げて怪訝な表情だ。

『鬼王やお袋の命令、ですか? はて? 何だか叔父さん達も事情に詳しそうですし…… どうしてです?』

『どうしても何も無い、竜王が送った使いから聞かされたのだ、ほれ、メルルメノクとか言う白竜を知っているであろう?』

『メルルメノク、って事務長ですか! 嘘でしょう? 無事に西に辿り着いたと?』

 竜王の里で魔獣として働いているらしいキャス・パダンパだが、自分達が使者として送り出した事務長、いやメルルメノクがハタンガの西、バストロ学院に到着した事実を、さも意外そうな反応で聞いている。

 いやむしろ、途中で何かのトラブルに遭遇して挫折する、もっとはっきり言えば役割を果たす事無く死んでいるだろう、そんな予測をしていたのではないかとも感じられる反応である。



お読みいただきありがとうございます。
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まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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