【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1415.でなし
ダソス・ダロスはその間、正確にはそれより一年以上長く、痛みの中にいた。
比喩ではなく肉体の崩壊を伴う明確な激痛を十二年間も独りきりで耐え続けていたのだ。
毎日繰り返す痛みの只中で、僅かな時間だけ正気を取り戻し、どんなに工夫を凝らそうとも脱出不可能な苦悶を待ち続ける日々である、判り易い地獄だ。
今日、思いがけず抜け出せたとは言え、瀕死の走馬灯付きの脱出劇である。
並みの精神力では、いやどんなドエムの上級者な変態であっても戻りたいとは思わないだろう。
しかし、この馬鹿デカイ豚猪、今日家族に加わったばかりの弟は、自分達スリーマンセルの為に、超ド級変質者の扉を開けようとしているのだ。
愛想笑いを浮かべたまま、全身をガクブルと震わせながら、形の良い鼻から恐怖の鼻水を流し続ける弟に対して、レイブは言葉を続ける。
「そっか、折角の申し出を無碍にする訳にはいかないしな、お言葉に甘えさせて――――」
「馬鹿言ってんじゃないわよっ! この人非人っ!」
『ンガ? でも頑張るって言ったでは――――』
「ドラゴン非ドラゴンっ!」
『え、気兼ねするの? いらないって――――』
「ブタ非ブタっ!」
「『『…………』』」
ガトが勢い良く話に乱入してくれたお蔭でレイブの人品は辛くも守る事が出来た、本当に良かった。
本来失われる筈だった尊厳に比べれば、人でなしやドラゴンでなし、ブタでなし位の侮蔑で済んだのは僥倖としか表現できない。
にしても、ガトが割と常識的に育った事には驚きだ、なにせ悪魔に育てられているのだから。
まあ以前の観察を思い起こしてみれば、ニブルヘイムの軍勢はまともな面子が多かった様な気もする、あくまで相対的に見て、だが。
ルキフェルの依り代、コユキと善悪を筆頭にした『聖女と愉快な仲間たち』はあんな感じだったし、バアルの配下、ヘルヘイムは蝿も骨も狂信者親子もどこか偏り過ぎていた感じがする。
ムスペル軍団に至っては我が儘な暴君アスタロトのお世話ばっかりで、いわばアスタ君係り的な立ち居地だった筈だ。
うん、改めて考えると比較対象がおかし過ぎてまともに感じられただけに過ぎない様だ。
とは言え、今現在ここに集まったメンバーの中では真っ当な意見である事に変わりは無い。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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