【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
924.ノームの命令
小さなスリーマンセルの声は続く。
「こうして小さくなった有機物は長い時を待機する事になり自然由来の変化、落雷や噴火、降雨や酷暑、厳冬なんかの影響を受けて、無機物との差異をあやふやな物にしていくのだが…… んまあ、これは蛇足だろうな…… 待ち続けた有機物や無機物は自分たちと同じく土の中に潜み続けていた管理者の指示に従って再び命、菌類や植生の栄養、構成物の一部となるべく勇躍して行く、と言う訳だな」
「管理者、ですか? 誰です?」
「ん? ああ、そうかそうか! お前達人間からすれば『土』だな…… 発芽を促したり、どの元素をどれ位吸い上げろだとか、休眠中の肺魚なんかに起きる様に命じる存在だぞ、大地の精霊、命の指揮者ってヤツだな、ここまで良いか?」
バストロは呆然としつつも頑張って答える。
「だ、大地の精霊、それに、い、命の指揮者…… 只の『土』がそんな風、な…… はっ、はい! 大丈夫だと思います、お話を続けて下さいませ」
「うむ、大地の精霊の総称はノーム、我の最愛の妻の友であり、人間達が模倣している農耕のオリジナルだぞ♪ このノーム達の判断によってな『まだ早い、今は休眠を要す』とされた場所は砂漠や荒地に、『よっしゃ、繁殖繁殖ぅっ!』って決定された場所は命溢れる緑の大草原に、って訳なんだぞ? ああ、魔力災害で命の量や濃度が大き過ぎる場所をコントロールしているのも同じく『土』、ノーム達の仕業だな」
「ノーム…… ですか…… 奥様の、と、友達なんですね、ほあ……」
「おっとまだ脱線してしまったままだったな、済まない…… 本題に戻ろう! ノームから指示を受けた植物は一斉にそれぞれが欲する要素、栄養を吸い上げ始めるんだぞ、同時に小さく変じてこの時を待っていた極小の元素達にも、ノームから指示が出されているんだぞ? お前ら行けとか、お前らはちょっとしてから行けとかな、そして微妙で繊細な指示が下されるのもこのタイミングなんだぞっ! おい、そこの芳香族、お前らこっそり吸収されなさいっ! とか、毒性のある元素なんかを密かに潜ませたりするのがこの機会の重大事項だと言えるだろうな!」
「えっ! ええぇっ! 何でそんな真似をぉっ! い、意地悪ですか?」
レイブ、ギレスラ、ペトラの三者は揃って首を振りながら答える。
その表情は落ち着き払っていて、なんかもう絶対的な知者っぽく見えている。
賢者っぽい子供たちは言う。
「そうでは無いぞ、進化を促す為なのだ」
「ほえぇ?」
その後、子供たちの口を経てバストロは、進化と生物の多様性に付いて長々と聞かされてしまうのであった。
話の大筋は理解不能であったが、神様がこの話を始めた理由、その訳だけは何とか理解出来たのかもしれない。
そう思える言葉をバストロは落ち着いた表情で口にする。
「では神様、この世に生きとし生けるもの、その全てが命を育む『神様』であると…… そう仰るのですか? うーん、ヴノの排泄物から話されたので今一つ納得し切れては居ないのですがぁ……」
「ヴノの大量で、異常に醸された悪臭に塗れた糞尿、それ以上の例が有るものかっ! 命は巡るっ! 我の話はこれ以上無い程に判りやすかったであろう! 良いかいバストロ、お前の全身はヴノのウ○コで出来ているんだよ♪」
「………………うぅぅっ」
レイブ達スリーマンセルは呆れた声で返す。
「何泣いてるんだよ、馬鹿だなぁ、良いか? 地上に生きる者はすべからず喰う事を止めてはならないのだぞ? 言い換えれば『ちゃんと排泄しなければならない』、そう言う事だぞ! 人間なんて分解装置、それ以外の意味なんて無いんだからなっ! ちゃんとしないとっ、ブリブリブリブリ、頑張るんだぞ? 良いか分解装置バストロよ!」
「うううう、うぅぅっ、えぐっえぐっ……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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