【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1424.再戦
会話の途中、不審な呻きで言葉を途切れさせたレイブの顔を訝しそうに覗き込んだシュカーラに、答えを返したのはレイブの左右で同じく周囲を見回し始めたギレスラとペトラであった。
『グゥ、来た様だな、前回は三日三晩だと言っていたか? しのぎ切れるか? いや、しのぐしかないな』
『そうよね、やるしかないわ! ほらシュカーラ、アンタ達って索敵が自慢なんでしょ? 気配を探ってご覧なさいよ! 尤も相手は隠す気も無いみたいだけどね』
言われたシュカーラだけでなく、ミロンとブロル、その他の隊員たちも鼻や耳を動かして周囲を警戒し始め、直後にそれぞれが持った得物を構えるのだった、流石に良く鍛錬されている事が窺える。
程無く、里の四方からザワザワとした不穏な魔力がソレと判る位に押し寄せ始め、低くくぐもった唸り声が周囲に聞こえ始めると、一般の獣人達からも不安げな声が漏れ始める。
彼等の前に立つガトは勿論、彼女の後ろに並んだダソス・ダロスとキャス・パダンパも油断無く体を起こして臨戦態勢を整え終えている様だ。
素早く全体を見回して確認したレイブが誰にとも無く言う。
「子供や年寄り、怪我人や病人、戦え無い者を迎賓館に入れよう! そこを中心にして円陣を作ろうぜ!」
『兄貴! 山頂の神殿の方が頑丈ですよ!』
『そうだよ! 護るにも高所の利があるじゃん、そうしましょう叔父さん!』
ダソス・ダロスとキャス・パダンパの声にはペトラが返す。
『残念ながらそんな暇は無いみたいだわね、ほら、来るわよ』
『『っ!』』
「ギレスラ! ブッパだ! 派手に出鼻を挫いてやれ!」
スウゥーー カッ! ゴワアァァァーーーーーーー!!
『ガアアァァァー! アンギャアァァァーッ!』
レイブの号令が下るや否や、それがさも当然、待ち構えていたとばかりに高温のブレスを吐き出す、いいや、ブッパするギレスラ。
灼熱の息吹に触れて、瞬時に燃え上がりその身を焦がすシルエットは思っていた通り、少し前に駆逐した筈のバイコーン達のそれである。
相変わらず周囲の大気を焼き尽くすチリチリと鳴く熱気の中心で、赤いドラゴンは意外そうな声音で呟きを洩らす。
『ほおぅ、燃え崩れないとはな…… こいつは驚いたのだ』
レイブは瞬で対する。
「一度殺されたから上手く避けたか、それか耐性でも付いたんじゃねーか? 気にせずブッパし続けてくれ! おっと、フレンドリファイヤには気を付けてくれよな?」
『無論だ! スゥッ、ガアアァァァァァーッ!』
『ペトラっ! 出ますっ! ブモモモブフゥッーッ!』
ギレスラが再度のブレスを射出するのに併せて、その射線を縫う様に突進していくペトラの姿はまるで漆黒の弾丸の様で、文字通り猪突猛進、アサルトアタックそのものの迫力である。
豚猪としては小ぶりだがバイコーンと比べれば倍近くもある巨体が通り過ぎた後には、少なくない欠損を負った個体がバタバタと倒れ込んでいく。
一旦通り過ぎたマッドバレットは、素早くユーターンするとバイコーンの群れに向けて再突入、そのまま縦横無尽に突進を続け、あっと言う間に里中を死屍累々の地獄絵図へと変えていった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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