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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様
801.新たな石

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 ヘロンは慌てた様子も見せずに言葉を続ける、中々の胆力だ。

「いや勿論お仕えすると決めたからには真剣に、それこそ命がけで働かせてもらうつもりです! だけどなぁ、ヒルも草も無いんですよねぇ? なんと言うんですかねぇ、ねえ?」

 ナッキの目はゴミを見るようであった。

「なに? 思ったままに言ってみれば良いじゃないかぁ」

「まぁ、ですよ? モチベ的にねぇ~、上がらないって言うかぁ?」

「もう、帰っても良いよヘロン、トンボとの事はありがとう、用が有ったらいつでも訪ねてきてね、さようなら」

 ヘロンの顔がパァッと嬉しそうな笑顔に変わる。

「あ、良いんすか? んじゃ、又なんか有ったら言って来て下さいね♪ 遠く離れた空からナッキ様の活躍を祈っていますんでぇ♪ おっと、こいつを忘れてましたぁ! ナッキ様!」

 調子良い感じで飛び立とうとしたヘロンは、何かを思い出したらしくナッキに声を掛ける。
 水の中に戻ろうとし掛けていたナッキは、呼ばれて振り返りつつ言うのであった。

「なに? まだ何か言う事――――」

 ヒュッ! ズドォッ! くらあっ

 話し出したナッキの額に向けて、ヘロンは鋭いくちばしを突き刺し凄まじい衝撃を受けたナッキは意識を失い掛けた。
 辛うじてギリギリ正気を保った物の、わずかな眩暈めまいと視界にチカチカとしたお星様を感じながらナッキは言う。

「な、何するんだよっ! 痛いじゃないかぁ! ひいぃっ、痛たたたぁ!」

「な、ナッキ大丈夫なのぉ? ヘロン、なんて事を……」

 いきどおるナッキと心配するサニーの声を聞いたヘロンは、不思議そうに首を傾げて答える。

「何って王妃様を救うために譲られた宝石の代わりをお渡ししただけですが? ここに来る前に言ったでしょう? 手土産をお持ちするって! いやあ探し出すのに苦労しましたよ、でも前より随分大きな物が見つかったんですよ? 嬉しいでしょう、ナッキ様?」

 この言葉を聞いたサニーは、ナッキの口の中から飛び出して、急ぎ額の様子を確認するために泳ぎあがるのであった。
 覗き込んだ巨大な額のど真ん中、今サニー自身の体に埋め込まれているナッキの枕、緑の石があった場所には、ヘロンの言葉通り数倍か、それ以上にサイズアップされた緑色の石が埋め込まれ、見る見る内に盛り上がった周囲の肉によって固定されていったのである。

 サニーの左右にはヒットとオーリも顔を並べ、心配そうな声を掛ける。

「大丈夫かナッキ、にしても大きい石だな、こりゃ」

「こんなの…… 体に悪影響があるんじゃないかしら…… 平気、ナッキ?」

「あ、悪影響! うわあぁーんナッキィ、死んじゃあヤダよー!」

 ナッキは視界中にちりばめられたお星様の数が減って行った事に少しだけ安心しながら答える。

「う、うん、今後の健康状態にどんな影響があるかは経過観察を要するだろうけど、取り敢えず今は大丈夫みたいだよ、皆ありがとう、心配掛けてしまったね…… にしても、おいっヘロン! 君たち鳥族ってどうなっているんだよ! サニーを治すためにダイサギ君が――――」

「私、アルヴァ、です」

「ん? ああ、アルヴァ君って言うのね? アルヴァ君が前の石抜くときも突然、今回も突然、何? 何なの君達? 前もって注意とか説明したら死んじゃう病気だったりすんの? それか、サプライズが面白いと本気で思ってる勘違い馬鹿タイプとかなの? 痛みや衝撃よりショック死するよ、普通! んまあ、痛いは痛いんだけどさっ!」


お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。 

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