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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1407.現実的な話


 困った時のレイブ頼み、話をを振られたレイブは一切の躊躇無く答える。

「困るか、ソレ?」

『むっ』

『え?』

「いやこうなった以上仕方ないだろ? 使えないものは使えないんだからさっ! それで生きていけないんだったよな? じゃあ死ぬしかないんじゃないか? 当然の帰結だろ?」

『マジでか?』

『そんなぁ……』

 精神状態の不均衡からまだ抜け出せないのだろうか? 独り、中々辛辣しんらつな口調のレイブは持論を展開する。

「あのなぁ、この時代に生きてれば死が隣合わせなんて当たり前! 至極普通な事なんだぞ? むしろこの里やクルン=ウラフが安全だって方が異常なんだよ! 良いか? 外の世界じゃ皆、必死に生き抜く為に、努力して苦労して辛くて痛くて腹空かせて、お互いに分け合って助け合って庇い合って、それでもあっさり死んじゃったりしているんだぞ? 悲しくても寂しくてもそんな事で立ち止まれないから又頑張って生き抜く為に日々を繰り返しているんだからさっ、ここのヤツ等が頑張れないんなら死ぬだけだろ? 違うか?」

『まあ、な』

『ええ、確かにそうね……』

「ここで産まれて知らない内に普通だと思っていた事は普通じゃなかったんだよ! 誰かの不幸や痛みの上に成り立っていたんだぜ? そんなのお前等だって続けたいとは思わないだろう? 今迄がラッキー過ぎただけで別にお前らは可哀想でも被害者でもないんだからさっ! 仕方が無いって納得するしかないんだよ! 判るか?」

「「「………………」」」

「わ、判ります…… けど……」

「良しっ! お前等が自分等の生活の為に平気で他者を傷つけるような奴等じゃなくて良かったぜ! それでも生きていたいんだったらさっ、俺が、いや俺達が協力してやるから一緒に頑張ってみるしかないだろ? なっ、そうしようぜ!」

「れ、レイブさん!」

 てっきり頭がイカレてしまったのか、しくは溝の底にシナプスの大事な部分を忘れて来たかと思ったが、どうやら違っていたようだ。
 厳しい言葉ではある物の、それなりにこの世界で獣人達が生き抜いて行ける様考えての発言だったらしい。

 爽やかな笑顔で協力を惜しまない宣言のレイブに対し、感動したっぽい黒熊マッチが歩み寄ろうとした刹那、シュカーラの言葉がそれを押しとどめる。

「待って下さい里長! 協力、ですか? ふむ、それはこの里に留まって一緒に暮らして頂けると考えても良ろしいのでしょうか? 貴方達、神様とその一味は『竜王の里』へ大事な旅の途中、確かそう仰っていましたが……」

 この発言に食い付いたのは、噛み付いたら簡単には離さなそうな牙をしているキャス・パダンパである。

「『竜王の里』へ? 今あそこは大騒ぎだぞ! なにしろ全兵力を動員しての出陣が迫っているからな! 俺がここを訪ねた理由も正にソレなんだよ! 行軍用に幾つかの金属器、それに出来れば食料の援助を頼みたい、その竜王様の言葉を伝えに来たんだからな」

「ほぅ、出陣ですか? それも竜王の里全軍が動くほどの相手とは…… どこの馬鹿です? ドラゴンと戦闘特化の魔獣軍団を怒らせた愚か者は?」

 やはりハタンガの東側同士、互いの事、取り分け軍事力にはそこそこ通じ合っているらしい。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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