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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様 
849.御福分

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

「で、何が違うんだいサニー」

「うん、あんなに美味しいミミズでしょ、人生観が変わる位、ううんハッキリ言って変わったよ、アタシ…… それをアタシ達二匹だけであんなに沢山食べちゃったじゃない…… オーリやヒット、他のギンブナだって食べたいと思うかもしれないのにね…… 皆と分ければ良かったのに…… 一口づつになったとしてもその方が良かったんじゃない? はぁー、自己嫌悪だよ……」

 お、おうっ、思っていたよりも卑しい訳じゃなかったんだな、何かスマソ……

 言葉を返せずに居るナッキ、多分ミミズを食べている間中、一度もサニー的な考えには辿り着けなかったからであろう、ナッキィ、私の好感度が絶賛急降下中だよぉ! ま、ウオの事は言えないか…… はぁー、私の心も薄汚れているのかも知れないな、猛省しよう……

 ここで清廉せいれんけがれない天使の如きお父様がお言葉をくだされる。

「ああ、そうだよね! んじゃあ、他のギンブナさん達の為、ウグイもかな? ミミズが好きそうな皆用に明日以降もっと沢山お持ちしますね♪ いやぁ、気が利かないでお恥ずかしい限りです、これ、この通り、お許しを!」

 ゆ、許し? 馬鹿な! いと高き場所にそびえ立つお父様が、贖罪しょくざいの言葉、だ、と?
 不敬の極みを極め抜いた馬鹿なギンブナ、図体ばかりでかくてテンデお馬鹿なヤツが答える、口が曲がれば良いのにっ!

「ああ、本当♪ んじゃあ明日かな? 皆の分も取って来ておくれよナガチカ! 良かった良かった、よろしくね♪」

 この馬鹿っ! 軽々しく頼むんじゃねぇぞっ! サカナ風情の癖にぃっ!
 この不敬に過ぎる言葉に、恐れ多くもたっとくも、我が父ナガチカ様が親切な言葉をお返しになる。

「りょっ! んじゃあ、明日にでも村を上げて畑を掘り起こして大量のミミズを池までお持ちしますよぉ! 皆も楽しんでくれるんじゃないかなぁ? 最近は釣りもしていなかった事だしぃ!」

 はっ? なに? 最近は釣りも…… って何?
 ナッキが言う。

「ええぇっ! ちょ、ちょっと待ってよナガチカぁ! その言い方だとさっ、まるで昔は釣りしてたみたいに聞こえちゃうじゃぁないかぁ! そんな残虐な行為をナガチカがする訳無いよね? ね、ね? そうだよねぇ?」

 お、お父様…… いや、父、ナガチカが答える。

「ん? 『釣り』ですか? 私は釣りが得意でしてね? 我々人間の間でですけどね? こんな言葉があるんですよぉ、『釣りはフナに始まりフナに終わる』ですっ! いやぁ、この地に来てからも沢山、数え切れない程釣り上げましたよぉ! いつだったか釣り上げたメスブナを地面に投げ捨てて放置した時にですねぇ、恨めしそうな表情でこちらを睨み続けたオスブナを見つけた事も有りましたよぉ! ははは、滑稽こっけいでしょう? だから止められないんですよね、釣り最高ぉー! あ、勿論、ナッキ殿やサニー殿と親しくなったので今後は慎みますよ? だって無意味な殺戮さつりくですもんねぇ、釣りってぇ! あははは、あははははぁ!」

「「………………」」

 は? えっとぉ…… ま、まあ、ナッキ達と知り合う以前の話しだし…… つ、釣り位良いじゃないだろうか? に、人間だもの!


お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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