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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1443.最近の日常


 そんな悪鬼羅刹の如き半獣集団のリーダー、ダソス・ダロスに話し掛けるレイブの声はパリトキシンにも負けずに陽気なままである。

「なあダダ坊、皆が飲める水とか探せるかぁ?」

「無論です、『調査サーチ』! ふむ、少し先の林の奥、そこなら魔力に侵されていない水場があるみたいですぞ」

 ああ、あれね…… なるほど、魔力を探知できる『追跡ハンティング』の進化系スキルである『調査サーチ』、それを応用して魔力=モンスター&毒素を除外した使い方をしている訳だ、たった三日でこいつら幹部も結構進化している様である。

「おお、そっかそっか、サンキュな! じゃあ飯食ってお勉強会が終わったら俺達で汲んでくるわ」

 ワイルドウルフとビッグキャットが声を揃える。

「「俺達も手伝います」」

「おお、頼むぜ♪」

 どうやら無事、必要な水が手に入りそうだ、良かった。
 にしてもレイブが口にしたお勉強会とは一体?
 いまいち判らないが、発言から察するにこれから実践してくれるらしい、ここはしばらく様子を窺ってみる事としてみようか。

 そんな風に考えている間にも、幹部連中はそれぞれ手持ちの荷から一掴みの食料らしい物を取り出して口に放り込むと、それだけであっと言う間に昼食を終えてしまっていた。
 揃って恵体な面々の中で一番最後までモグモグしているのは一番華奢なガトである。
 とは言え、この娘もいざとなったら馬鹿デカイおっさん風味になったりするのだが……

「果物が欲しいわ……」

「あはは」

「あの、今日もよろしくお願いします、レイブ先生、それとガトさんも」

 幼馴染らしく遠慮無く言葉を交わしていると、獣人達の中から似た見た目で揃えた一団が姿を表して二人に声を掛けた。
 集団には私、観察者にも見覚えがある。
 クルン=ウラフの里に辿り着いて迎賓館の中に案内されたレイブ達に最初の食事を運んで来た獣人達である。
 パッと見、普通のニンゲンぽかったおっさん、確か頭頂部の毛髪が薄い割に、側頭部にはたっぷり残存していた男性達だった筈だ。

 そういや、あの時レイブに言われていたっけな。
 確か、牛や山羊の獣人と一緒にいたレイブ曰く一般人の獣人で、ダソス・ダロスを助けた後のクルン・ウラフ最高会議(不毛)の席にも参加していた個体である。

 ごくごく普通のおっさんで獣交じりには見えなかった彼とそっくりな仲間が十数人、おずおずとしながらもレイブ達の下へ歩いて来たのである。
 迎えたレイブは満面の良ーい笑顔だ。

「ああ、こちらこそよろしく頼むな! 疲れてないかな? お嬢さん方?」

 は? お嬢さん? だって! 何をトチ狂っているんだレイブよ?

「ええ、皆レイブさんの授業が楽しみになってしまっていて! あの、その、先生って、か、格好良いからっ! キャッ、言っちゃったぁ! 恥ずかしーいっ!」

「「「「「「きゃっ♪ きゃっ♪」」」」」」

 は? はぁ? はあぁっ? 何だぁこれぇ?
 あれか? 肉体や見た目が心身の性別と乖離しているだとか、そーゆーアレなのか? 
 にしても同じ種族っぽい十数人が一斉に? そんなのご都合主義にしてもやり過ぎじゃないか?



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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