【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1225.unexpected
シェフペトラの言葉は続く。
『気持ちは判るけどさぁ、贅沢言ってられないのよー、だって学院を出る時に持って来た干し肉や干し果実が底を付いちゃったんだから仕方ないでしょー! 岩塩と果実水が少しだけ残っていたお蔭で何とか料理できた位なのよ? これでも我ながら上出来のつもりよ!』
なるほど、そりゃ確かにピンチだわな。
「ああ、昨夜アイツ等に喰われちゃったからなー、太師匠もホブゴブリン達も遠慮とか知らない感じだったからぁー、な?」
いや、それはお前が自分の不始末を誤魔化す為に勧めたんじゃん……
『にしても、雑草とヒル、それに腐乱して打ち捨てられていたモグラとは…… とほほ』
文句タラタラなギレスラを目にして、漸くリーダーとしての矜持でも思い出したのか、レイブが嗜めるように言う、忘れがちだがスリーマンセルのリーダーは依然レイブなのである。
「いやいやいや、ほぼ雑草とは言え有り物だけでこんなに作れるって凄いじゃないか! 文句は食べてから言おうぜ! ほれ、いただきますっ!」 パンッ!
有り物と言うか拾い物なんだが……
兎に角、レイブは勢い良く手を合わせてから、仲間達に先んじてさっさと前菜の雑草を口に運び出す。
ギレスラは息を飲んで見守り、ペトラが満足気に見つめる中、口一杯に頬張ったサラダと名付けられた雑草をワシャワシャ咀嚼しているレイブ。
ギレスラの心配そうな表情から何かを感じ取ったらしく、言葉を制する様に掌を指し示して頷いて見せた。
どうやら食べる様に促しているらしい。
自分の前に置かれた山盛りの雑草とレイブの顔を交互に見返して、はっきりと戸惑っているギレスラに対し、遂には厳しい表情を浮かべて顎を上げて見せ、早くしろと言わんばかりである。
覚悟を決めたギレスラは恐る恐る雑草を口に運んだ、直ぐ横に生えている草原の草と間違えない様に慎重な手付きである。
『っ! ん? んんん?』
次の瞬間、竜種特有の大きな光彩がギラリと輝き興奮気味に叫んだギレスラの短かな手には、残りのサラダがボウルごと確りと握られていた。
『美味いではないかっ! 只の雑草の筈なのに、何でこんな…… まるで魔法みたいだぞっ!』
「な? 俺も驚いたんだよ」
ニヤリとした顔で肯定の言葉を口にするレイブは既に二品目のスープ、雑草入りのお湯に突入済みだ。
その後は、改めてパンッからのいただきますを言葉にしたギレスラとペトラも加わって、ほぼ無言のままで食べ進めていくスリーマンセル…… ヒルから蕾、モグラ、毒々しい草の実、そして再びの雑草とお湯、力ずくで潰した雑草の固まりまで、フルコースを完食するのに多くの時間は掛からなかった。
「『ご馳走様でしたー』」
『いいえ、お粗末様でした♪』
一気に平らげた一人と一頭にシェフであるペトラもどこか嬉しそうだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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