【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1383.エキスパート
少し前には外傷も塞がり、それに伴って頭もはっきりして来ていたレイブは素直に要請に従って腰を上げた。
ローブとボトムスに付着した土埃を、パンパンと掃って前に踏み出しつつパダンパに声を掛ける。
「良し、じゃあ叔父さんが交代してやるぞ、むふふ、良く見て学ぶが良い」
『ゼェーゼェー、え? 叔父さん?』
「ああ、お前のお袋は俺の姉弟子なんだよ、つまりお前は甥って訳だ、まあ見てろって♪」
『た、戦うんなら一緒に――――』
パダンパの言葉が終わるのを待たずにレイブはその場から姿をかき消した。
と同時に、周囲に集まっていたバイコーン達が爆砕し始める。
但しこの罠の底に落ちた後の死神モードウォークとは違い、顔面と両拳、両足だけに部分鋼体術を施したレイブがぶんぶん振り回してそこらを走り回っている姿がはっきりと見える事から中々にダサかった。
が、見た目のスマートさこそ皆無なものの、破壊力は強烈だった。
程無くその場から立っているバイコーンの姿は消えて、哀れな残骸の山と死に切れずに蠢くとどめ待ちだけが地を埋め尽くしていたのである。
体自体の動きを止めたレイブは腕や足の余勢を殺そうともせず、ブンブンと振り回したままで周囲の結構な広範囲を見回して呟く。
「うわっ、こんなになってもまだ生きてんのかよ? 何なんだよコイツ等~」
その言葉が表す通り、半壊しつつも体を蠢かす元バイコーン達だけでなく、部位の名前も判別出来ぬほど細々に破壊された肉槐や肉片まで、まだまるで生きているみたいにグニグニ脈動をし続け、それらの得体が知れない欠片が見渡す限りの景色を埋め尽くしているのである。
誰が見ても気持ちが悪い、そう形容出来る景色であろう。
パダンパは答える。
『コイツ等ずっとこうなんだ…… キリが無いって言うかさ、直に集まって戻っちゃうんだよ……』
なるほど、どうやらここにいるバイコーンの群れたちは皆さんが知る所のアンデット的に復活する、そんな話らしい事が伺える情報提供だ。
「ほーん? そうなのかぁ、んじゃコイツを使うかな」
気楽な感じで答えたレイブは腰に差し込んでいたゼムガレのナイフを抜き祓うと、躊躇の欠片も見せずに手近な肉片から順にサクッと貫き始めたのである。
途端に動きを停止する肉片達。
これはあれだな、ナイフに塗られた赤い粉、タンバーキラーの効果だと思われる。
こっちサイドには強壮剤や食料にもなるが、モンスターにとっては猛毒以上の致死性を持っているとか言っていたからね。
サクサクサクサク…… 流れる様な自然な動きで数百を超える作業を重ねた結果、そう時を置く事無く、罠の底、見渡す限りの景色の中で動きを続けているのはレイブとパダンパの二者だけを残してしまったのだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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