【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1378.ドロップ
揃って首を傾げていると、左右から獣人達からの声が掛かる、警戒を促す悲鳴に近い叫びだ。
「違いますっ! 化け物は下ですっ!」
「そいつらは元々捕まえていたモンスター共ですよっ! さっきヤツを落としたんできっと恐れて上がって来たんですよっ!」
『ヤツ?』
「どれどれ?」
そろそろ聞き分けられる様になってきた、ミロンとブロルの叫びを聞いたレイブとギレスラは、声に従って数歩前進すると、まだブレスの熱でシューシューいってる溝のエッジから首を伸ばして覗き込む。
想像以上、かなり深くまで掘られた溝の底には、馬鹿みたいに大量のバイコーンが犇めき合っていた。
獰猛な威嚇の唸り声をあげつつ、習性に従って群れで狩をしているらしく見えた。
円陣で遠巻きに取り囲まれている個体がミロン達獣人が言う所のヤツ、なのだろう。
幼体とは言えそこそこデカいバイコーンが小さく見える事からその巨大さが窺い知れた。
戦闘力も高いらしく、間断無く聞こえる唸り声に混ざるのは、キャンキャンとした甲高いイヌ科の悲鳴ばかりである。
「おお、アイツか! なるほど大物っぽいな」
緊張感無く呟いたレイブはギレスラの背から飛び降りて、ちょうどエッジに上がって来たバイコーンを殴り落としてから振り返って言葉を続ける。
「ちょっと降りて倒してくるわ、ギレスラはここで逃げ出そうとするバイコーンをブレスで牽制しといてくれよ」
『独りで大丈夫か? デカそうだが……』
「なーに、所詮モンスターじゃんか、楽勝ラクショー♪ じゃあ、行って来るな」
『てら』
ピョン!
視線を溝の底に向けて戻したレイブは、一切の躊躇も見せず、モンスターの巣窟へと自然落下を始めるのであった。
落下直後レイブは考える。
――――参ったな、まさか頭から真っ逆さまに落ちるとはな…… やっぱり頭が重たいんだなニンゲンって…… まあ、あれを使えば死ぬ事は無いだろう
「『エクスプライム』! ぐぁっ!」
バイコーンの群れのど真ん中、巨大なモンスターとも然程離れていない地面に大きな陥没が出来た。
その穴からひょっこり現れたレイブの首は不自然な方向に曲がっている、恐らく頚骨が折れたかずれたかしたのだろう、痛痛しい事この上ない。
普通死ぬだろ? そんな状況なのにレイブの言葉はこうだ。
「ちきしょう難しいな…… 痛みは感じないんだがどこかやっちまうなぁ、次は着地のタイミングで部分鋼体術を使ったりしてみるかなぁ? ん? 景色が斜めに? ああっ! 俺の首の方か! なるほどなるほど、よいしょ」
ゴキッ! グキグキッ!
独りで納得した後、両手で自分の首を掴むと無造作に伸ばしてから左右に振っている。
運良くハマったらしい、良かった。
※レイブは色々特殊な体質です、決して真似をしないで下さい
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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