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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1575.昼夜逆転


「こいつは良いんですよ! そもそも誰かに聞いて貰える様な奴じゃあ無いんですから!」

 ゴシショの言い方とニヤけた表情には思いやりの欠片かけらも見当たらない。
 マナナンガルのあざけり具合はもっと判り易く侮蔑ぶべつの意思が含まれていた、曰く、

「そうですよ、戦いでもそれ以外の時でも彼は役に立たないんです! そもそもヴラドは日中寝てばかりいるんですからっ!」

 ほぉ、つまり昼夜逆転って事だな…… うーん、そこはかとない退廃の気風が漂うな、いとデカダンスだ。
 レイブは別の部分が気に止まったらしい。

「役立たず…… そうなのかヴラド?」

 なるほど、しくも同じ言葉で揶揄やゆされてきたからな…… そりゃそこだろうな。
 一方、小馬鹿にされた当の本人、ヴラドは何事も無かった様な風情で答える、至って普通に。

「ええ、我輩と眷属は夜行性、日光に弱いのですよ、太陽が出ている間は物の役には立たないのです」

「そっか、体質か……」

『そう言えば、見た感じ肌とか弱そうなのだ』

『色素の関係じゃないの? 青白いし…… あ、別にそれが悪いって訳じゃないのよ? 個性よね、個性』

「これは、恐縮です」

 仲間の露骨な言い様にもレイブ達のどことない惻隠にも揺るがぬヴラドの態度、どうやらかまってちゃんとは対極の域に達しているらしい。

 しかし、同じ役立たずとしてレイブは尚も本人が望んでいなさそうなフォローを試みる。

「ま、まあだけどさっ、考え方によっちゃありがたい存在なんじゃないか? だって夜の仕事は任せられるわけじゃん? 昼夜二交代で効率アップ! って感じなんじゃないか? なっ?」

 なるほど。

「いえいえ我輩は本当に――――」

 今度はブラチがヴラドの言葉に被せる。

「夜の仕事なんてこれといって無いんですよ! 我々は日暮れと共に眠りますからね! こいつは本当に何の役にも立っていないんですよっ! あははははーっ!」

 高笑いが坑内に響く中、ギレスラとペトラは不愉快を露骨に顔に出している。
 恐らくヴラドに対する彼の仲間の態度が気に入らなかったのだろう。

 思えば同様に役立たずと呼ばれてはいたが、学院のメンバーはレイブのスリーマンセルを辱めたり侮ったりする事は無かった。
 むしろ武器の類が役に立たない規格外の強者として、一種の尊敬や憧憬しょうけいの対象ですらあったのだ。
 今行動を共にしている仲間達、旅の途中で出会った者達も又、自分達のありのままを評価し、そして尊重してくれていたのだ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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