【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1241.Dr.ギレスラ
類目マニアの側面を持ったぺトラだけでなく、門外漢のレイブまで感心の呟きを洩らすが、ギレスラの独擅場は留まる所を知らない。
『更にレイブの持っている鱗の方はセンザンコウの物だろうな、鱗を持つ生き物としては非常に珍しい哺乳類だな、歯を持たず長い舌を使って蟻や白蟻を捕食する事でも知られているんだぞ、中でも特に赤い固体は珍しいんだ、まあアユカケも同様なんだがな』
「え、コレって哺乳類、獣だったのか」
『そうだぞ、立派な獣なのだ』
『目は? ねえギレスラお兄ちゃん、目はどこに類別されるの?』
『うむ、目で言えば鱗甲目だな』
「へー」
『リンコウモク、ね? 憶えておかなくちゃ』
確り記憶に残すつもりか、小声で何度も繰り返しているペトラ。
一方のレイブは心底感心し切った表情でギレスラに言う。
「凄いじゃないかギレスラぁ! お前がそんなに物知りだったなんて思わなかったぞ? 俺はてっきり馬鹿、グフングフン、えっとほら、細かい事とか気にしない豪放磊落な性格だとばかり思ってたからさっ! 驚いたよ」
これに返すギレスラは至って平常な風情だ。
『ん? ああ、竜種は魔術師や魔獣に比べて役目が限られておるだろう? 殆どの場合里にも入れないし、魔獣ほど荷を背負える訳でもない、自然、周囲の監視警戒や斥候、それに食料調達を担う事になるからな、その為の知識に過ぎん、まあ、覚えの悪い我に我慢強く付き合ってくれたジグエラのお蔭だよ、感謝なのだ』
「そっか」
『それにな』
「それに?」
ギレスラは翼を広げて首を上方に伸ばし、赤い全身を見せ付ける様にしながら言葉を続ける。
『鱗を持つ生き物の事を憶えるのは特に好きなのだ、きっと鱗の王者たる竜の中でも別格の美しさを誇るニーズヘッグ、そう産まれついてしまった業? みたいなものなのだろうなぁ~』
ほーん、なるほどね。
この観察の初期からちょいちょい言ってたもんな、ニーズヘッグ最後の生き残りとか何とか?
恐らく竜の中では美しいのだろうし、それなりの自覚も持っているのも当然か。
レイブも特段何を言うでもなく、ペトラの横からアユカケの肉を拾い上げ笑顔と共に言う。
「んじゃ、無事揃った所で食事にしようぜ! これ喰えるんだよな?」
『無論だ、あっさりしていて美味いらしいぞ』
『流石スズキ目ね! ちょっと炙る?』
『了解だ、グァ!』
ギレスラが角ではなく微調整可能な口から炎を吹き出そうとした瞬間、レイブが笑顔のままで口を挟む。
「その前に来客みたいだぞ、ギレスラ、ペトラ、抜かるなよ」
『ブヒ、了解よ』
『燃やし尽くそうか?』
「森の中だぜ? 近くに森王の住処もあるみたいだから止めとこうや」
『ふん、面倒だが仕方あるまい』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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