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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1268.霧が晴れる


『ほらほら、ステナさん所の三つ子のゲッコー人よ! 伝い歩きで壁や天井を動き回っちゃうワンパクな三つ子ちゃん達! レイブお兄ちゃん会ってみたかったんでしょ?』

「三つ子…… ステナの? 伝い、歩き…… はっ! 三つ子っ!」

『そうよ! 三つ子よ! 会って充分にその可愛さを愛でればいいのよ! それでどれだけ愛らしかったかを今日の報告で思う存分ラマスに教えてあげましょう! ねっ♪』

「ら、ラマス? でも私は、魔石の…… いやっ、俺はレイブ! そうだレイブだ!」

『そ、そうよ! レイブお兄ちゃんよっ! ねえ、アタシの事判る?』

「……パルミ、いやぺトラだ! ペトラ、そうだろう?」

『やったわ』

 ペトラの根気と頑張りが混沌の闇に沈み掛けていたレイブの正気を引き戻す事に成功した。
 個人的な感情を廃した工業機械の如き魔石吸収要員から、元通り元気で適当な役立たずのお兄ちゃんに復帰させたのである。

 やり遂げた満足感からか大きな目尻に涙を浮かべて感慨に浸っていたペトラに役立たずが声を掛ける。

「んでどうしたんだよペトラ、何か話しがあったんじゃないのか?」

 気楽な物だな、お前は本当に……
 頑張り屋の大恩人、ペトラは細かい事は気にしない度量の広さを見せつけつつ言う。

『う、うん、魔石に込める魔力のことで行き詰っちゃってたんだけどね? それよりもヤバイ感じなのよ』

「ん? 何が?」

『ギレスラお兄ちゃんよ、何か自分とか種族の存在意義? 生きてる意味とかそんなの考え始めちゃってるみたいなの…… ヤバイわよね?』

「何だと」

 ペトラの言葉を聞いたレイブはずかずかとした足取りでギレスラに歩み寄り、もたげた顔先に耳を寄せて小さな呟きを聞き取る。

『宇宙は物質、あらゆる素粒子に満ち溢れている、なぜなら未だ拡散されていない無も又、来るべき時を待ち続ける旅人となりうるのだ…… 存在とはあらゆる存在がそれと知れる場所に行き着く為の旅に他なら無い、だとすれば進化も又一つの旅路の結果、辿り着いた場所に過ぎないのだ、だとすれば存在し物思う時、種族や類目など瑣末な事に過ぎない事に気が付ける筈…… 物質の変遷の一経過点としての意義に何ほどの差異があろうか、存在はもれなく物質である! それはこの宇宙の定理、そう、宇宙は物質で溢れている、つまり、宇宙は物質、あらゆる素粒子は――――』

 レイブは途中で繰り返しに入った事を確認すると、ギレスラから離れてペトラに耳打ちをする。

「おい、ヤバイなんてもんじゃねーぞ、アレ…… 存在意義とかじゃなくて自分なりの宇宙観みたいな事まで口走ってんじゃねーかよ…… 末期的症状っぽいぞアレ」

『どうしよう? もう諦めた方が良いかな? 次の竜とか探す?』

「うーん、まあ何とか引き戻してみるか、全く手が掛かる」

 お前それどの口で…… まあ良く言えたな、大したものだ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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