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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1063.暗中模索


 思い悩んだ『六道りくどうの守護者』のメンバーは、消去法と言うよりはイメージ先行で稚竜達の教育に取り組む事となったのだ。
 具体的には、賢いとか、強いとか、中立的とか、哲学的とか、割と尊大とかの映画や小説のイメージを損なわないように、物心付くか付かない内から徹底した英才教育を施したのである。

 学力的には現役で理科Ⅲ合格を強要する位の厳しさ、合わせて各国の特殊部隊ですらはだしで逃げ出さざる得ない程の特訓を課し続け、洋の東西を問わずに聞かされ続ける神話や叙事詩、伝説の数々は、年を経るごとに雉竜達の意識を人々が思う『竜』のそれへと洗脳、グフングフン、近づけていく事に成功して行ったのだ。

 特徴的な教育としては一人称だろう。
 子供の内は自由だった様だが、大人になった場合は『アタシ』『俺』『麿』『俺様』『コノアタシ』『我』『わらわ』『余』『朕』これらの中から選ぶ事が強要されたのである、因みに『朕』を選んだ竜は居なかったようだ、賢明だ。

 因みに彼等の尊大さの教材として好まれたのはサブカルである。
 彗星の赤いヤツだったり、野菜の国の王子様、鷹っぽい傭兵団の白いヤツとか、超人気アニメの暴風の竜や爆炎の支配者的なキャラが参考にされたようである。
 こうして無事(?)育てられた竜達が、ギレスラ達の祖先に当たる、と言う訳だ。

 虎の子のブレスがある事からも、戦闘力といった面では悪魔と遜色ない竜ではあったが、如何せん個体数が少なすぎる。
 そこで『オニギリ友の会』が、とある魔王と共同で行った戦力補強策が画期的効果をもたらす事となる。

 魔王の名はカイム、魔界の序列五十三位にして三十の軍団と初期の魔獣達を率いる大悪魔である。
 実行した作戦名は『圧倒的な量は質を凌駕する』である。
 二つの勢力が力を合わせて取り組み続けた催し物がある。

 ~ ぴったりな相手を簡単ゲット! 『レッツ合同受肉式』 永遠の絆とマッチングゥ~ ~

 そう名付けられた全国周遊企画イベントである。

 少しだけ判りやすく説明させて貰うと、カイムは全ての動植物の言葉を理解できるマルチリンガルの極みであり、何だったら滴る雨音や流れる水音、轟く雷鳴からも万物が奏でる自然の意思を聞き取ることが出来る唯一無二の能力を有している事を、まず、思い出して頂かなければならないだろう。

 更に言えば、『オニギリ友の会』を率いていたコユキのすぐ下の妹であるリョウコのチームメイトと言えば、猿、蟹、ドラゴンっぽいヒュドラ、後は彼女自身が模した事があるあらゆる植物を由来としたバケモノばかりだった事も思い出して欲しい。
 
 この二者が力を合わせる、となればご想像通り、人外どころか獣でも昆虫でもない、草や苔やカビ、海草、プランクトンから細菌、ウイルス、無機物であっても動いていれば、微かであっても音さえしていれば生きてるっ! そんな風に思って話しかけて周ったで有ろう事は当然と言って良いのではないだろうか?

 リョウコ一味とカイムの旅はそんな風に、景色に紛れて消え去りそうな『音』を見つけては語りかけることから始まったのである。
 風に転がる石榑を並んで指先でつつきながら揃って薄っすらとした笑顔で語りかけ続けるリョウコとカイム…… 中々な狂い具合に見えた事だろう……



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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