【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1043.適応者選抜
日に日に憔悴していくレイブと弟子たちに更なる仕事が割り振られたのは程無くしてからである。
ズィナミの打った第二の手、サリト村の守備隊として送る学生達、言わば学徒動員の適応者選抜の試験官の任を、事も有ろうかよれよれのレイブに命じて来たのだ。
ろくに眠る間もないというのに……
断れば良いじゃん?
確かにね、しかしレイブの性格は皆さんもご存知の通りなのである。
いや、レイブに限った事ではなく、この時代に生きているニンゲンというのは、与えられた環境の条件に適応しようとするきらいが強い、理由は簡単、そうしなければすぐに死んでしまうからだ。
竜や魔獣も同じだろう。
子供や幼体ならば順応性は更に高くなり、結果、与えられる仕事を断る、そんな発想自体が消え去っているのである。
幸い存在してはいないがもし有ったら、ブラック企業パラダイス、そんな時代なのである。
魔術師修練所、通称『バストロ学院』の従順な畜生と化したレイブは不承不承ながらその役目も兼務することになったのだ。
最初の内は忙しい業務の合間を縫って、生徒達の授業風景を視察したり、個々人に対してアドバイスを与えてみたり、出征前の面接などでは細かな質問を投げ掛けたりしていた、が、長くは続かなかった。
忙しさゆえだ、仕方が無いだろう……
自然、選抜試験は志願者対レイブの模擬戦形式に変わって行ったのである。
大体月一ペースで行われる模擬戦には多くの生徒が志願して来た。
一々相手にするのが面倒になった、グフングフン、志願者たちの選抜を捌き切れなくなったレイブは対象を最高年者の四回生だけに搾る事にした、あたら若い命を危険溢れる死地に送りたくはない、そんな思いやりゆえだろう、泣ける。
無論、学生たちではレイブの相手にはならなかった。
何しろここ『バストロ学院』に来て程無い頃、学院長のズィナミ・ヴァーズ、現役の鬼王を本気にさせた男が、日々の激務と訓練によって鍛え抜かれているのだ、軽くバケモノに分類される強さとなっている事は想像に易いだろう。
お蔭で忙しくて慢性的な過労気味だったレイブにとって、模擬戦の時間は丁度良い休息時間となって行った。
必死の形相で挑みかかって来る生徒達を、時に鼻ちょうちんを膨らませて居眠りをしながら、また時には明日の出荷の手順を必死に効率化させるための工程表を認めながら捌いていったのである。
そんな状態でありながらも、息も絶え絶えになっている生徒達に対して、的確な改善点の指摘と合否の判断を下し続けていたレイブは学生たちから例の二つ名で呼ばれる事となった。
『役立たずのレイブ』、あれである。
とは言え、理由は少し違っているようだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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