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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様 
854.因果の塊

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

 ………………

 数分が過ぎた…… 今の所、二匹が産卵する気配は、無い……

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 更に十数分が過ぎた…… 深い瀬に身を沈めたままのナッキやサニーは先程までと何ら変わりなく見える、何でだろうか?

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 更に更に、何と一時間以上時が過ぎてしまったが、ナッキとサニーには何らの変化も起こらずに、早くも飽き始めているらしい二匹は、不毛の極み、頭取りを始めているようであった。

 ここまで、自然分娩を待ち続けていたナガチカが諦めた感じで二匹に、と言うより誰にとも無く敗北を宣言する。

「あーあ、はあぁ~、やっぱり駄目だったみたいですね~、以前にも言いましたよね? 魚類と私達、哺乳類って進化の枝分かれで遠過ぎるんですよぉ! 残念ながら私の『繁殖者』を持ってしても、進化の順番、そういった壁は越える事が出来ないみたいですねぇ~…… 期待させてしまってゴメンなさーいっ! やっぱり私の能力って犬や猫、熊や狼みたいな同類の哺乳類にしか効かないみたいですぅ…… あ、でも、ドラゴン、トカゲの魔獣達には妊娠させられましたからぁ…… 若しかしてそこから分かれた鳥類、ナイト・ヘロンや、爬虫類の手前で分かれた両生類、カエルとかなら妊娠させられるかもしれませんよね? これはっ! 新たな発見ですよぉ! 『美しヶ池』にはその為の検体が全部揃っているんですよね? 最高じゃないですかっ! 良っしっ! 旅立ちまでの五日間、私、幸福長短の全てを注いでぇ、無慈悲な実験を試みる、そうしますぅっ!」

 うん、もう誰の共感も得られないで有ろう言葉を大声で宣言している時点で狂っているよね。
 どうやら孕まずに済んだ進化の枝別れが遠かったギンブナ二匹は、自分達の僥倖ぎょうこうに、安堵の表情を浮かべる素振りも見せずに、緊張感に満たされ捲った様子で口々に答える。

「そっかそっかぁ! 残念ながら僕たちはナガチカの子供を産めなかったのかぁ~、ざ、残念のみぎりだよぉっ!」

「そ、それに、鳥類とカエル達? だよね! ああ、あの子達って夕方になると自分達のねぐらに帰ってぇ、気が向かないと全然『美しヶ池』に顔とか出してくれないんだよね~! ナガチカが旅立つ前に会えれば良いけどぉ? ちょっと、無理かもしれないよね~、ね? ナッキ?」

「そうそうそうそう、そうなんだよぉ! 皆居ない、基本無人なのが『美しヶ池』の日常なんだよぉ! お恥ずかしいっ! えへへぇ!」

 この大嘘を聞いたナガチカはまんまと受け入れてくれたようである。

「あぁ、そうなんですか? 思ったより君臨出来ていないんですね? がっかりですよ…… まあ、いいや、約束なんでミミズだけは届けますけどね…… 七日後、私達が旅立つまで、まあ、よろしくお願いしますね、お魚さん? はあぁ、がっかりだよっ!」

 こいつ、本当に私の親か? 嘘だろう…… ショックっ、観察者ショックっ!
 私のショック状態をそのままにしてナッキはド変態に笑顔で答える、凄いな、気持ち悪くないのかな?

「うん、ありがとう! こちらこそよろしくね! ナガチカぁ!」

 ふむ……

 まあ、不承不承帰って行ったナガチカの背を見送った後、大急ぎで『美しヶ池』に帰ったナッキとサニーは明日からの六日間を無事に過ごすための指示に夜遅くまで向き合う事となったのである。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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